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島根の企業倒産 地方実情に合った対策を
島根県内の企業倒産がこのところ急増している。倒産とともに負債総額が大幅に膨れあがっている。公共事業の減少で建設業を中心に大型倒産が多発しているためである。
全国的には「いざなぎ景気」を超える史上最長の景気拡大が続く。しかし山陰はその波に乗れないまま取り残されている。
六年前から始まった今回の景気拡大は、好調な輸出がけん引する外需依存型である。輸出関連の製造業が集積する地域は活況を呈しているが、製造業が少なく公共投資に依存する地域ほど回復が遅れている。
いざなぎを超えるロングラン景気のなかで、そうした地域格差が拡大しつつあるようだ。大幅かつ長期にわたる公共事業の削減がここにきて地域経済の疲弊を加速させている。
だから公共事業を復活せよとは言いにくい。しかし、このままほっておけば、就業の場の減少などを通じて地域の定住条件にも影響を与えかねない。
国と地方を通じた財政状況をにらみつつ地方再生に目配りする。構造改革一本やりのマクロ政策から地方の実情に配慮したより幅の広い対策を求めたい。
帝国データバンク山陰支店によると、昨年一年間の島根県内の企業倒産(法的整理によるもの)は五十九件、負債総額二百四十六億円。前年に比べ件数で一・八倍、負債総額では三倍近くに増えた。法的整理による倒産としては件数、負債総額とも二〇〇五年以降最悪となった。
業種別では建設業が二十六件と半分近くを占めてトップ。倒産企業の二社に一社は建設業で、製造業の十二件が続く。製造業の中には瓦メーカーなど住宅関連も含まれ、建築に関連した企業の倒産が広がっている。
石州瓦製造のアメックス協販(江津市)を最大に負債額十億円以上の大型倒産が八件。販売不振に陥っていたアメックス協販は国の産業再生機構の支援を受けていたが、売り上げ減に歯止めが掛からず再建を断念。自己破産に追い込まれた。
同社を含め負債規模の大きい倒産が集中したのが特徴だが、石見地方を代表する地場産業の一角が破たんした衝撃は大きい。
昨年の倒産のうち、再建の見込みが立たず自己破産したのが五十一件と大半を占めた。一口に倒産といっても民事再生などを利用しながら、事業の継続を目指す再生型もある。
しかし昨年の倒産を通じて再建を断念し、事業を終止、解散する清算型が増えた。倒産パターンが後ろ向きになっている。
公共事業縮小の影響を従業員の整理や合理化でしのいできたが、それも限界に達する。先行きに展望を見いだせないまま事業継続を断念するケースが目立つ。
事業を再生させようとする志が萎(な)え、悲観的な空気がよどむ。全国版の史上最長景気は、山陰にとって実感を伴わない史上最長の素通り景気でもある。
地域に元気を取り戻す主役は民間企業であり、それは自助努力による。しかし地域の実情に応じてその環境づくりを政府が応援することも考えるべきだ。
('08/01/28
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