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受験合格グッズ、「銚子-本銚子」が人気

 19日の大学入試センター試験を皮切りに、今年も本格的な受験シーズンに突入した。IT社会とはいえ、受験に欠かせないのは昔も今も合格祈願グッズ。強運の説得力があるものは、特に心強い。経営難で運行ピンチに陥りながら再生を目指す銚子電鉄(千葉県)の合格祈願切符は、まさにその例。銚子~本銚子間の往復切符は「調子が悪くても本調子(銚子)に戻る」と絶妙な語呂合わせ。再建とともに切符の売り上げも伸びている。

 銚子電鉄の合格祈願切符は、語呂合わせの妙が最大の売りだ。区間内の銚子駅を「調子」、本(もと)銚子駅を「本(ほん)調子」に見立てた。本銚子→銚子行きの上り線は「登り調子で運気を高める」、銚子→本銚子行きは「調子が本調子になりさらに運気が高まる」、本銚子発の往復切符は「調子が悪くても本調子に戻る」といった具合だ。

 合格祈願切符を発売したのは4年前。鉄道部の向後(こうご)功作次長が印刷業者と話す中、ふと浮かんだアイデアだった。商品化を決め、約300セットを用意。駅などで売り出したが、最初の2年はあまり売れなかったという。しかし昨年は、用意した1000セットがほぼ完売。房総半島の銚子~外川間、6・4キロを19分で結ぶミニローカル線が、経営難をめぐるニュースで全国区になったのが大きなきっかけだった。

 03年、元社長の横領事件が引き金で経営が悪化。車両の修理費が足りない事態に陥った。95年から増収策の一環として行う「ぬれせんべい」の収益でも間に合わず、06年11月、自社ホームページに「電車運行維持のためぬれせんべいを買ってください」と、捨て身の呼び掛けを掲載。がけっぷちに追い詰められた。

 ここで、経営難のミニ鉄道を救おうと全国から注文が殺到。乗客数も伸び、07年度3月期決算で営業収益は2億8000万円(前期比約1億円増)にまで回復。何とか破たんを免れた。

 どん底からはい上がった同社の強運には、説得力がある。あやかってもらえればという会社の思いと、受験生や家族の気持ちがマッチしたことが、07年、発売当初より売り上げが3倍以上に伸びた背景にあるようだ。「合格できました」「就職できました」というメールも、多く会社に届いているという。

 08年の受験シーズン、合格祈願切符は過去最高の1500セットを用意。今年から東京・渋谷の東急ハンズ、神保町の書泉グランデでも買えるようにした。銚子~本銚子間(180円)の切符が3枚入って720円。裏には「0001(1番で合格)」「3759(皆で合格)」「3788(皆ハッピー)」という番号も載せた。向後氏の娘さんも、この切符を持ってセンター試験に臨んでいるという。シートには「厳しい冬を乗り越えたあとには桜が咲くのです」の文字。危機を乗り越え再生を目指す同社の御利益は、どれくらいの受験生に訪れるだろう。【中山知子】

[2008年1月20日7時41分 紙面から]

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