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【社会】

次期気象衛星の活用法は? 他分野での利用を検討

2008年1月29日 夕刊

 現在、運用中の気象衛星「ひまわり6号」と「7号」の耐用年数が7年後に切れることを受け、次期衛星の運用の在り方を検討する「静止気象衛星に関する懇談会」(座長・山内弘隆一橋大教授)が29日、気象庁で開かれた。現在の白黒の衛星画像がカラーになるなど、高性能化が見込まれる次期衛星の民間活用などが検討課題。

 日本の気象衛星は、1977年打ち上げの「ひまわり(1号)」からスタート。当初、雲などの観測は3時間ごとだったが、6、7号は30分間隔に短縮、赤外線で夜間の霧も観測できる。さらに航空管制機能も併せ持つ「運輸多目的衛星」(MTSAT)として運用されている。

 次期衛星は、10分間隔で地表のカラー撮影が可能になるほか、解像度が現在の1キロから500メートルに改善される見込みだ。

 懇談会では(1)次期衛星の優れた観測機能を気象庁の業務以外の新たな分野に利用できないか(2)通信や放送などの役割を併用できるか−などを検討。

 民間からのヒアリングを経て、年末に結論を取りまとめる。

 米国の気象衛星「GOES」は森林火災監視や、赤潮など海の状況を漁業関係者に提供する役割も担っているという。

 懇談会委員は、文部科学省宇宙開発委員会初の女性委員で「ハッブル望遠鏡が見た宇宙」などの著書があるサイエンスライター野本陽代さんや、東大大学院生らが手作りしてロシアから打ち上げられた一辺10センチの超小型「さいころ形衛星」開発を指導した東大大学院の中須賀真一教授ら9人。

 【気象衛星ひまわり】 地球の自転に合わせて周回し、赤道上空約3万6000キロの軌道にとどまる静止気象衛星。赤外線と可視光で雲の画像を得て、天気予報や台風の進路予測に利用している。5号までは気象観測専用だったが、6号から衛星利用測位システム(GPS)を用い、レーダーの届かない洋上の航空機の管制機能も併せ持つ「運輸多目的衛星」(MTSAT)として運用。MTSATの1号機は1999年に打ち上げに失敗、5号も耐用年数を超えたため2003−05年、米国の気象衛星「GOES−9」がバックアップ観測した。

 

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