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豆まき:身勝手な「鬼」ばかり 来場者殺到で「危険」、伝統行事中止--横浜の弘明寺

 ◇警備の限界

 横浜市内では最古の名刹(めいさつ)「弘明寺(ぐみょうじ)」(南区)で60年以上続けられてきた節分の日(2月3日)の豆まきが今年から中止される。狭い境内で警備員の指示に従わない来場者がおり、転倒事故などの危険があるからだ。継続を望む声が上がる中、美松寛昭(みまつかんしょう)住職(44)は「自分のことしか考えない人が多く、警備の限界を超えている。子供たちに伝統行事を残せないのは悲しい」と話している。

 弘明寺では戦前から毎年2月3日に「節分法会」を実施。応募した年男年女が寺の境内で福豆をまき、鬼や天狗(てんぐ)が周辺を練り歩いてきた。

 豆まきには、約600平方メートルの境内に、毎年約1000人が集まり、狭い境内で多くの人が福豆やお菓子を我先にと奪い合う。実際に転んで軽いけがをする来場者もおり、05年から福豆を手渡しにした。それでも危険な状態が続き、07年10月に行われた寺の役員会で中止を決めた。来年以降も再開する予定はないという。

 この決定に対し近くの主婦、榊原千代子さん(63)は「子供が豆を拾う時など確かに危ないと思ったが、豆まきをしないお寺が増えているのでやめないでほしい」と落胆していた。

 参道にあたる横浜弘明寺商店街への影響も心配される。商店街協同組合の魚住宏一副理事長(60)は「新規のお客さんを開拓する機会だったのに。影響が予想できない。商店街で配る福豆の量を例年の3倍にして、何とか節分の日が盛り上がれば」と話している。

 美松住職は「何かあれば主催者側の責任が問われる時代になった。事故が起きてからでは遅い」と説明している。【鈴木一生】

毎日新聞 2008年1月29日 東京夕刊

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