本県が持つ地中熱資源を活用、化石燃料消費の削減と関連産業創出を目指す県の地中熱利用推進ビジョンが、28日に開かれた策定委員会で大筋でまとまった。全国でもトップレベルにある温泉地、源泉など本県が持つ地中熱資源を生かした事業モデルを提案するとともに、これら資源の利用促進に向けた方策を示した。事業モデルは戸建て住宅や公共施設、道路・歩道、ハウス農業での地中熱を取り入れた取り組みを提案、コストと二酸化炭素(CO2)排出量が削減される見通しを示した。資源の利用促進にはビジョンを県民にPRし、事業主体となり得る企業・団体への働き掛けを図る。

 策定委は昨年8月以降今回を含めて計四回の会合を開き、ビジョンの内容をまとめた。
 それによると、本県はこれまで国などの調査で豊富な地中熱資源の存在が確認され、津軽地方を中心に融雪システムやハウス農業でも活用されている。
 主な事業モデルでは、戸建て住宅で地中熱利用冷暖房システムを行うケースは、既存の地中熱源ヒートポンプユニットに空気熱で湯を沸かす装置エコキュートを合わせて利用することで、灯油ボイラーを使用した場合と比較し、CO2排出量が年間約三分の一にまで削減。コスト的にも20年でみた場合約80万円の削減となる。
 同システムを公共施設で利用する場合は、同じく地中熱源ヒートポンプを利用し、エアコン利用と比較すると、コストとCO2排出量はともに三分の二程度まで低減できるとしている。
 このほか温泉熱利用の事業モデルでは、高温の温泉水に入浴可能な温度にするため水を入れていたのに代え、熱交換器を設置。熱交換で沸かした水を給湯や暖房に利用することを提案した。
 今後の利用促進に向けた方策としては、ビジョンのPRによる普及啓発と関係機関への働き掛けを図り、事業への取り組みをする機関の掘り起こしを目指す。
 ビジョンは28日の策定委で出された意見を踏まえ、2月末までに最終的な内容を取りまとめる。