生体肝移植手術に保険が適用されなかったのは不当だとして、薬害C型肝炎訴訟の女性原告の家族が29日、当時加入していた健康保険組合を相手取り、高額療養費不支給決定処分の取り消しを求める訴えを大阪地裁に起こした。原告側によると、生体肝移植での保険適用を巡る提訴は全国で初めてという。
訴えを起こしたのは、大阪市の森上悦子さん(58)の夫、操(みさお)さん(60)。悦子さんは長男の出産時、血液製剤「フィブリノゲン」を投与され、C型肝炎を発症して肝がんになった。05年6月に大阪大医学部付属病院で生体肝移植の手術を受けたが、手術関連費用約500万円のうち、約350万円分は保険適用が認められず、高額療養費が支給されなかった。
事前に肝がんの治療を受けていたことが不適用の理由とみられるが、原告側は「肝がんになったから移植を受けるわけで、不支給の判断はおかしい」と主張している。【遠藤孝康】
毎日新聞 2008年1月29日 大阪夕刊