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さんま |
やっぱりぼくらはね、
期待されたかと思えば、そっぽを向かれる。
そういう人のイヤなところが
もうのすごくよく見える商売なんですよ。
だから、その、ダメになったときの、
人の手のひらの返し方とかを
目の当たりにするんですよ。 |
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糸井 |
あぁー。
やっぱり長く続けていくと、
そういう経験は多くなるんですか。 |
さんま |
多くなる。どんどん返されます、ええ。
で、いいのが続くわけないですから。
ダメなときもあるんです。 |
糸井 |
ギャンブルの負けと同じですよね。 |
さんま |
まったくそうです。 |
糸井 |
そうですよねぇ。 |
さんま |
それで、ぼくは若手に
「ギャンブルしろ!」って言ってるんですよ。 |
糸井 |
ああ。 |
さんま |
もう本当にギャンブルの「流れ」はね、
お笑い芸人の人生にはかなり役に立つ。
もう、それはね、いってみれば、
「ダメなときにどう止めるか」
これだけなんですよ。 |
糸井 |
あー、なるほど。 |
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さんま |
負け分をどうおさえるか。
そこはもう、テクニックもあるし、
計算もあるんですけども。
ぼくがいちばん、
胸に刻んでいる名言があって、
まぁ、なんでもないといえば
なんでもないことばなんですけどね。 |
糸井 |
はい。 |
さんま |
ジョージ・フォアマンと
モハメッド・アリが試合したときに
アリが言ったんですけど、
「わざとボディを打たせるんだ」と。
どういうことかというと、
「わざと打たせたボディは効かないんだ」
というんですね。 |
糸井 |
あぁー、いいですね。 |
さんま |
これはかなり、役に立つんです。
とくに、お笑い芸人とかタレントには
たぶん、必要なことばだと。 |
糸井 |
うん、うん。 |
さんま |
やっぱり、「あかん」というときは
なにをやってもダメなんです。
そういうときには、打たせなきゃいけない。
わざと打たせたら、耐えられるんですよ。 |
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糸井 |
はぁ、はぁ、はぁ。 |
さんま |
ところが、「オレは大丈夫だ」と思って、
行って打たれると、効くんですね。
さすがモハメッド・アリっていう。 |
糸井 |
すごいですねぇ。 |
さんま |
そういう名言があるんですけどね。
これは、ぼくの、
世間には言ってない座右の銘ですよね。 |
糸井 |
はぁー。 |
さんま |
簡単に教えたらあかんと思ってるから。 |
糸井 |
なるほどねぇ‥‥。
博打を専門にやってた、
阿佐田哲也さんとかも、
そういうことをおっしゃってるんです。 |
さんま |
あ、そうですか。 |
糸井 |
もちろん意味は違うんですけども、
たとえば、人と博打をやるときに、
「勝たせないと
お客さんになってくれない」とかね。 |
さんま |
ああ、はい、はい。
おんなじですよね。 |
糸井 |
素人の人ほど、
相手を完膚なきまでに叩きのめしちゃうけど、
もう一回来てくれないと仕事にならないわけで。
つまり、アリのことばも同じで、
勝ち負けの流れに乗ったりつくったりして、
いかに続けていくかっていうことなんですよね。 |
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さんま |
そうですね。
もう、流れが決まってるときは、
どうしようもないですから。
とくに、負けてるときはね、
もう、どうおさえるか、なんです。 |
糸井 |
うん、うん。 |
さんま |
だから、そこですよね、
勝負強い人と、
ただのギャンブル好きが大きく違うのは。
ダメな人は、負けてるときにも
同じ金額をかけていくわけです。
あかんときには、
ここを下げたらいいだけなんですよね。
それだけのことなんですよ。
ところが、ダメなときにカーっとくる人は、
負けるとどんどん増やしていくんですよ。
取り返そうとして。
裏行ってるときは、ぜんぶ裏ついてしまうのに。 |
糸井 |
一気に取り返さないと不安だからですよね。 |
さんま |
そうなんです。
それがね、ギャンブルやって、
ダメになっていく人のほとんどだと思いますよ。
麻雀でも競馬でもなんでもそうですけど、
流れっていうのは、もう見事に、
どうあがいても、どんだけテクニックあっても、
どんな学者がやっても、無理なんですよ。
そういうことをずっと考えてたりするとね‥‥。 |
糸井 |
寝られない。 |
さんま |
寝れないですよね(笑)。 |
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糸井 |
いや、さんまさんって、
ほんとうにそういうことを
いつも本気で考えてますもんね。 |
さんま |
いや、これは大事なんです(笑)。
とくにお笑い芸人には大事なことなんです。 |
糸井 |
だから、なんていうか、
それはぼくもそうなんだけど、
みんなが質問したがるようなことって
じつはぜんぜん考えてなくて、
そういうことばっかり考えてるんですよね。 |
さんま |
そうです。そうなんですよ。 |
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(続きます) |