◇風で飛び立てず、地上で中継映像確認
災害時に孤立化が懸念される山間地の被害状況を把握して救援活動に役立てるため、和歌山大などは紀美野町で26日、モーターパラグライダーで上空から情報収集する実験を行った。しかし、この日は風が不安定でモーターパラグライダーは飛び立てず、地上でウェブカメラによる中継映像を確かめたり、車で山を登って下の様子を観察するなどした。
実験は、和歌山大の防災教育研究プロジェクト(代表・此松昌彦准教授)が取り組む災害時の情報通信システム研究の一環。飛ぶ予定だったライダーは、体に無線LAN(域内情報通信網)とウェブカメラを付けて地上の風景を中継した。パソコンは草刈り機を利用した発電機に接続し、中継映像を映し出した。山の上からもデジタルカメラで撮影した画像を送った。
実験を見守った同町永谷、パート、西岡幸子さん(49)は「こんな情報が送れるとは」と驚いた様子で、「早く実用化してもらいたい」。下佐々地区自治防災組織の根来平会長(70)は「初めて見る防災用具が多い。今後の参考にしたい」と熱心に見て回った。【辻加奈子】
毎日新聞 2008年1月27日