2006年の7月豪雨で岡谷市や辰野町などを中心に発生した土石流災害を受けて、対策を審議してきた県の「森林の土砂災害防止機能に関する検討委員会」(委員長・北原曜信大農学部教授)は28日、災害に強い森林づくりに関する指針をまとめ、村井仁知事へ提言した。「適地適木・適正管理」をキーワードに立地条件に適した樹種選定や間伐などの管理を通じ、災害に強い針広混交林や広葉樹林の拡大を目標にすべきとした。
昨年3月にまとめた「災害に強い森林づくり」の基本方針に基づき、森林づくり推進の調査や計画、整備の手法を整理した。森林を、崩壊発生源となる恐れのある尾根などの「崩壊防止型」、緩傾斜の山ろく部などの「崩壊土砂抑止型」、渓流沿いの「渓畔林型」の3つに分類。「適地適木・適正管理」を基本に、地形や地質ごとに本来あるべき樹種への転換や適正な間伐などで強化を図るべきとした。
北原委員長は、直径5センチの根1本の強度は、同1センチの根16本分に相当するとのデータを示しながら、太い根や幹を発達させることが崩壊防止のほか、土石流などを食い止める災害緩衝に効果的と指摘。「森林は手入れ次第で敵にも味方にもなる」と間伐の必要性を繰り返し強調した。
村井知事は「注目すべき提言をいただいた。県民への啓発を含め、力を入れて取り組んでいきたい」と述べた。
県は指針について、今年度中に岡谷市を皮切りに説明会を開く予定。