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【主張】透析患者増加 糖尿病予防の徹底が急務

2008.1.29 02:45
このニュースのトピックス主張

 人工透析を受ける患者が約27万人にも増え、医療費の膨張に拍車をかけている。

 健康保険などの適用で患者本人の負担は少ないものの、人工透析の医療費は患者1人当たり年間約500万円はかかる。こうした患者は毎年1万人ずつ増え続け、透析にかかる医療費は年間約1兆3500億円にも上る。これは日本の医療費総額(約30兆円)の5%に相当する。

 透析患者の4割以上が糖尿病性腎症で、いわゆる生活習慣病のひとつである糖尿病からくる慢性腎炎だ。今後も透析患者は増え続ける見通しだ。この増加に歯止めをかけなければ、日本の医療は崩壊しかねない。政府は早急に解決策を示し、実行すべきである。

 厚生労働省は昨年10月から検討会をスタートさせ、患者を適切に治療して人工透析が必要になる慢性腎炎への進行を防ぐ施策を探ってきた。

 今年3月には(1)腎臓病予防の普及啓発(2)かかりつけ医と専門医の連携(3)医療水準の向上−の観点から報告書をまとめ、施策を平成21年度予算に盛り込むという。腎臓病の重症化を食い止める戦略的研究の実施もすでに決めている。これらをいかに具体的に実行していくかが大きな鍵となる。

 人工腎臓(透析装置)によって血液から老廃物を除去するのが人工透析である。腎臓の機能を失った慢性腎炎の患者は、この人工透析を受け続けながら自らの生命を維持する。

 慢性腎炎は自覚症状がなく、気が付いた時には進行している。老廃物が体内にたまることで、痙攣(けいれん)、貧血、むくみ、全身の倦怠(けんたい)感…を引き起こす。完治することはない。それだけに腎機能の低下を初期の段階で見つけて治療に専念することが重要となる。

 透析患者を減らすには、まずは徹底した糖尿病予防が必要だ。生活習慣を変え、カロリーの過剰摂取と運動不足による肥満をなくし、血糖値に問題がある場合は、厳格な血糖コントロールが求められる。

 すでに透析を受けている患者についても、腎臓移植によって減らせる。患者も過酷な透析から抜け出せる。そのためには、ドナー(臓器提供者)を増やせるように臓器移植法を改正し、心停止後の死体腎移植や脳死移植を推し進めることが肝要となる。

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