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普天間移設 埋め立てに大量海砂 地元、環境懸念

2008年01月29日06時37分

 米軍普天間飛行場の移設問題で、沖縄県名護市辺野古崎での代替基地の建設計画が明らかになった。埋め立てにはヤフードーム(福岡市)の約10杯分にあたる1700万立方メートルの海砂を利用する。当初、沖縄本島周辺の海域で採取するとしていたが、県などから「環境への影響が大きい」との批判の声が上がり、一転、県外も含めて検討することになった。一方、辺野古崎周辺の沿岸部には計約10ヘクタールの作業ヤード(作業区域)を建設、隣接する大浦湾も浚渫(しゅんせつ)される予定で、環境への影響は広範囲に及びそうだ。

 沖縄防衛局が今月、基地建設に伴う環境影響評価(アセスメント)の手続きの中で、県環境影響評価審査会に提出した資料などから明らかになった。

 それによると、埋め立ての面積は約160ヘクタール、必要な土砂は約2100万立方メートル。約400万立方メートルは予定地にかかるキャンプ・シュワブ内などの土砂を、1700万立方メートルは海砂を利用する計画で、当初は沖縄周辺の海域で採取されたものを購入するとしていた。

 しかし、海砂の量は沖縄県内の06年度の海砂採取量(約137万立方メートル)の12.4倍、ピークだった99年度(約486万立方メートル)の3.5倍。05年度の全国の採取量(約1497万立方メートル)も上回る。仲井真弘多知事も21日に出した同防衛局に対する意見で「年間採取量からすると著しく大量」として、県外も含め複数の調達先を検討するよう求めた。

 県内の砂利採取業者によると、沖縄周辺の海域で現在、海砂を採取しているのは本島北部沖や渡嘉敷島沖など5カ所。「沖縄周辺の海砂の量は減っており、沖縄近海だけで採取するのは困難。どんな試算をしたのか」と疑問視していた。

 県などの指摘を受けた沖縄防衛局は「沖縄本島だけでは調達できない」と方針転換。海外や県外からの調達方法を検討しているが、見通しは立っていない。

 また、追加資料では、基地とは別に周辺の沿岸部2カ所を埋め立てるなどして建設する作業ヤードの広さを、それぞれ約5ヘクタールとすることも明らかになった。

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