「もっと生きたい」との患者の切実な願い。医師が昼夜を問わず患者の治療に身をささげるのは、自分を頼りにやって来た患者をどうにか救いたいという使命感があるからです。

 今年8月に放送予定のテレビ西日本開局50周年番組へ向け、去年夏から福岡市の男性外科医を密着取材しています。外科医の多忙な1日は朝のミーティングから始まり、診察、検査、そして手術などで、帰宅が深夜零時を過ぎることも珍しくありません。呼び出しに備えて、夜間でもアルコールを一滴も口にしないことを知り、頭が下がる思いでした。

 人手不足に過酷な勤務など、危機的状況にある日本の医療現場。しかし医師の悩みは私生活がなくなることではなく、医師1人あたりの負担が増し、患者に本来の気配りができなくなることです。

 自分に命を託してくれる患者に全力を尽くしたいとの思い。男性外科医の心の葛(かっ)藤(とう)を通じ、日本の医療の問題点を番組で浮き彫りにすることが私に与えられた命題です

=2008/01/29付 西日本新聞夕刊=