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道路より生活だ 「ガソリン値下げを」運送業者ら訴え

1月28日11時33分配信 河北新報


 道路より生活だ。道路特定財源となっているガソリン税の暫定税率をめぐり、原油高の打撃を受ける運送業界や農家、消費者はそろって、燃料費軽減につながる税率引き下げを切望している。「燃料費の高騰で収益が圧迫され、経営危機だ」「ガソリン代を下げてくれないと生活が立ち行かない」。自民党や東北の自治体が道路整備の財源確保を理由に引き下げに反対の姿勢を強める中、悲痛な声で生活防衛を訴えている。

●陳情手応えなく

 新春の集いに笑顔はなかった。25日、石巻市のホテルで開かれた宮城県トラック協会石巻支部主催の新春物流セミナー。須藤弘三支部長は悲痛な声を上げた。

 「今の軽油価格では業界はガス欠寸前。運賃を上げてほしいとは言わないが、せめて価格高騰分の補てんはしてほしい」

 150人の出席者のうち半数は荷主企業の関係者。支部は「荷主の皆さまへ」と書かれた文書を添え、燃料費高に伴う収益悪化を穴埋めする金銭負担を求めた。

 県トラック協会によると、燃料の軽油の仕入れ価格は2007年12月で1リットル110円台に上がり、過去最高を記録した。

 それだけに、業界は道路特定財源の暫定税率引き下げを熱望する。

 東北6県トラック協会連合会の倉茂周典会長は今月24日、東京の自民党本部を訪れ、東北選出の国会議員に「本当に必要な道路は何かを1年かけてじっくりと議論してほしい」と迫り、引き下げに反対する与党に再考を求めた。

 しかし、「暫定税率の問題は与野党の政争の具になっており、陳情しても手応えがない」と徒労感を募らせている。

●ハウス栽培危機

 生活か道路か。この問い掛けに対し、大崎市古川の農業佐藤庄志さん(52)は「道路のために生活を犠牲にするのは本末転倒。日々の生活こそが大事だ」ときっぱり。

 ビニールハウス3棟でナスを栽培している。ハウス暖房の重油代も高騰し、今年は約130万円になる見込みで、前年より80万円も上がる。重油は暫定税率の対象にはならないものの、「トマトもキュウリもイチゴも暖房に重油を使う。このままでは国内のハウス農家は壊滅だ」と危機感を抱く。

 秋田県から仙台や東京に高速バスを走らせる羽後交通(横手市)。軽油が一円上がると、年間400万円のコスト増になる。急発進の禁止、アイドリングストップなどの省エネ運転を励行し、必死に自己防衛に取り組んでいる。

●出費が月5000円増

 ガソリン価格の上昇は家計も直撃する。東北では一家で車を2、3台持つ家庭が多く、ダメージが大きい。山形市の主婦田中沙由理さん(32)はマイカー通勤の夫の分を含めて2台所有。ガソリン代は昨年に比べて最高で月5000円増えた。

 「一円でも安い食料品を買い求める主婦にとって、最近の値上げは生活防衛の域を超えている。税率を下げ、価格を安くしてほしい」と願う。

 青森市の会社員田中治さん(62)も「給油の際にメーターが気になって仕方がない」と気をもむ。月3回だった趣味のドライブは回数を減らした。

 「財源を確保して道路を造っても、このままでは走る車が減り、結局、新たな無駄を生むのではないか」と、税率維持を疑問視している。




【写真】燃料費高騰で業界の窮状を訴えた新春物流セミナー。関係者は暫定税率の引き下げを訴えている=25日、石巻市の石巻グランドホテル

最終更新:1月28日11時33分

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