国土交通省は、複数の市町村にまたがる名所や温泉を2泊以上の連泊で楽しむ観光地作りを促すための新法制定に乗り出す。
規制緩和や国の補助によって隣接する地域を一体的に開発・整備し、長期滞在型の観光地に育てるのが狙い。観光圏整備法案として今国会に提出する方針だ。
国内では、バスツアーの普及などで「安・近・短」の手軽な旅行が増え、観光地に「お金が落ちない」ことが課題になっている。複数の隣接する観光地が連携することで、1日目は名所巡り、2日目は農業体験、3日目は温泉−−など、多彩な組み合わせの滞在型観光プランが提供できるようになるとみられる。
新法案には、圏域内の複数の自治体や観光、商工業者らの協議会が策定する「観光圏整備計画」を国交相が認定すれば、国が事業費の4割を補助する制度が盛り込まれた。
また、旅行業法の特例を設け、旅行業者だけに認められている旅行商品の販売を、圏域内の周遊ツアーなどに限って旅館・ホテルなどができるようにする。道路運送法などの特例として地元のバス会社や鉄道会社が割引周遊券を作る際の手続きも簡素化する。
地域一帯で宿泊施設の外観を統一するため中小企業金融公庫から融資を受ける際の金利優遇や、公益法人が取得する文化財の不動産取得税を軽減する措置も盛り込まれている。
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