東北初となる福島県のドクターヘリが28日、運用を始めた。初日は出動要請はなかったが、要請があれば駐機基地のある県立医大病院(福島市)から県内のほぼ全域へ30分以内に到着できる機動力を持つ。医大病院には同日、24時間体制の救命救急センターも開設され、県内の救急医療体制は大幅に強化された。
運用開始前に専用ヘリポートで行われた式典で、佐藤雄平知事は「福島県は広大だが、地域間の医療格差はあってはならない。ヘリにより医療に恵まれない地域の安全・安心が飛躍的に高まることを期待する」とあいさつ。
過疎地も含めた救急医療体制の充実に向け、医療や消防など関係機関の連携を求めた。
佐藤知事はその後、集中治療室(ICU)や冠疾患集中治療室(CCU)など20床を備える県北初の救命救急センターも視察し、担当医師から最新の設備について説明を受けた。
ドクターヘリの運用に備えて医大病院が養成した専門の医師と看護師は各6人。出動する際は院内の通信司令室から当番の医師と看護師の携帯端末に呼び出しがあり、ヘリポートへ5分以内に走る。
初日は当番の医師と看護師がいつでも抜けられるように救命救急センターなどでサポート的な診療行為を行いながら待機を続けた。
ドクターヘリは人工呼吸器や超音波診断装置などの医療機器を装備した6人乗りで、最大2人の患者を搬送できる。
運航は原則午前8時半から午後5時まで。最も遠い桧枝岐村でも40分、それ以外の地域には30分以内に到着できる。
到着現場では、その場で処置できる場合はそのまま治療を施し、医療機関での治療が必要な場合は県内4カ所の救命救急センターを含めた8つの指定病院に搬送する。
地域の指定病院がふさがっているケースでの活用も想定されている。
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