出産時に止血剤として投与された特定のフィブリノゲン製剤が原因でC型肝炎に感染したとして、岡山県の40代女性が28日までに、国に薬害肝炎被害者救済特別措置法に基づく給付金など約1300万円の損害賠償を求める訴えを岡山地裁に起こした。厚生労働省は「法施行後、(今回の岡山でのケースの)ほかに提訴は確認できていない」としている。
ウイルスに汚染された血液製剤フィブリノゲンなどを投与されC型肝炎に感染した患者が国や製薬会社を訴えた薬害肝炎訴訟の和解を受け、16日施行された同法には「特定C型肝炎ウイルス感染者」への給付金支給が盛り込まれたが、支給を受けるには特定感染者と認定する裁判所の確定判決、和解などが必要となる。
訴状などでは、女性は1985年12月、県内の病院で長男を出産。帝王切開による分娩だったため900ミリリットル(羊水含む)の出血があり、輸血と止血のためのフィブリノゲン製剤の投与を受けた。2001年9月、体調不良のため同病院を受診すると、同製剤によるC型肝炎と診断された。現在は未発症だが、体調は芳しくないという。
カルテは残っていないが、女性側は、同病院には当時、旧ミドリ十字から同製剤が納品され、出産時の主治医も同製剤を投与したと述べている―と指摘。「特定C型肝炎ウイルス感染者に該当する」と主張している。
薬害肝炎被害者救済特別措置法は、特定感染者を「特定フィブリノゲン製剤または特定第九因子製剤の投与を受けたことによってC型肝炎ウイルスに感染した者―」と定義。症状に応じて給付金の支給を定めており、女性は未発症者に一律支払われる1200万円に弁護士費用を加えた金額を請求した。