息切れや咳(せき)、痰(たん)を慢性的に引き起こし、全世界で死亡原因の4位を占める「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」の認知度が40歳以上の国民の約3割にとどまっていることが1月28日までに、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(東京都品川区)などの調査で分かった。疾患が疑われる人についても約8割が「症状を医師に相談しない」と回答。同社などは「疾患の認知と早期受診のさらなる啓発が必要」としている。
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COPDは、喫煙が原因となる肺の生活習慣病で、気道が炎症を起こして酸素を取り込む肺胞が破壊されてしまう病気。息切れやしつこい咳や痰を引き起こし、進行すると死に直結する。年に数回急に症状が悪化し、それにより入院を必要とした場合、その1年後の生存率は約6割とされる。
現在世界中には6億人の患者がおり、全世界の死亡原因の4位。日本でも500万人以上が患っており、死因としても10位だが、実際には約22万人しか治療を受けていない。
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社とファイザー株式会社(東京都渋谷区)は、同疾患への一般市民の意識を明らかにするため、40歳以上の男女を対象にして2007年11月に調査を実施。4,744人から回答を得た。
結果によると、COPDについて「どういう病気か知っている」「病名のみ知っている」と回答した人をあわせた認知度は34.0%。調査対象者の中で「1日に何度も咳をする」などの項目が当てはまった「COPDが疑われる人」1,274人を見ても、認知度は38.3%にとどまった。
また、咳が長引いても、多くの人が肺炎やぜんそくを疑う傾向が強く、同疾患を疑う人は15.0%だった。
さらに医師への相談について尋ねたところ、同疾患が疑われる人の17.8%が「過去に医師に相談したことがない、将来相談するかもまだわからない」と回答。その理由に関しては、60.4%が「自分はCOPDではない」、35.8%が「相談するほど症状は深刻ではない」となった。
これらの結果について同2社は「COPDへの理解が十分でないことが伺える。疾患の認知と早期受診のさらなる啓発が必要」としている。
同2社が開設するCOPDの情報サイト「SpiNet」によれば、疾患になっても治療によって健康な人と同様の生活を送ることができる。治療法としては、まず禁煙が考えられるほか、症状を急に悪化させる可能性のある風邪やインフルエンザの予防や気管支を広げる薬による薬物療法も基本。これに加えて、「運動療法」「理学療法」「栄養療法」を組み合わせた「呼吸リハビリテーション」も効果が期待できるという。
更新:2008/01/28 キャリアブレイン
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