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大阪府知事選

38歳知事<上> メディア利用 計算ずく?

過激発言封印も「自分貫く」

徹夜で取材・出演

 全国最年少で大阪府知事に就任する弁護士でタレントの橋下徹氏(38)。初当選を決めた27日夜から分刻みでメディア取材を受け、28日朝を迎えた。この日だけでテレビ・ラジオの出演や新聞取材の予定は30本以上に及び、新しい「大阪の顔」として府政改革への意気込みを語り続けた。これまでの軌跡からは、その人物像が浮かび上がってくる。


当選証書を手に笑顔を見せる橋下徹氏(28日午前10時38分、大阪府庁で)=吉野拓也撮影

 この日朝一番の仕事は午前6時前からのテレビの生出演だった。「当選から一夜明け」の感想を聞かれた橋下氏は笑いながら答えた。

 「全く寝てない状態なので、そのまま続いている感じです」

 午前9時までの3時間で、大阪市内のホテルから11本の生中継。共演者だったテリー伊藤さんには「応援しているからね」とエールを送られ、東国原英夫・宮崎県知事からは中継を通じて「昨日から同じことをメディアに何回も聞かれ、むっとすることあるでしょ」と同情された。

 ただ、ある番組のコメンテーターから「アンタは『立候補しません』と言ったウソつきというのが、どこまでもつきまとう。もう絶対にウソは許されないという緊張感を持ってほしい」と迫られ、殊勝な様子で何度もうなずいた。「本当にその通りだと思います」


 月30本前後の番組を抱え、年間2億円以上の出演・講演料を稼いでいたコメンテーター時代。「(日本に)核武装は必要」といった過激な言動は、時に物議を醸し、知事選で政党支援を得る上での障壁ともなった。ただ、橋下氏は「(他の出演者と)差別化を図るため、計算していた。メディアには、特徴がないと出演できません」と意図的だったと説明する。

 番組で橋下氏と共演した弁護士の丸山和也・参院議員は「彼は、こういう時は、こう答えるといったケーススタディーをノートにびっしり書き込んでいた」と明かす。読売テレビ解説委員の辛坊治郎氏も「100%計算してしゃべるし、しゃべれる人」とみる。

 ただその「計算」は、時に人を不快にさせた。

 「小泉チルドレン」の一人、川条志嘉・衆院議員(38)は橋下氏と小中高の同級生。2005年の総選挙直後、橋下氏は情報番組で「(川条氏の)机にマヨネーズをつけて『お好み焼き』と、いじめていた」とのエピソードを紹介した。

 だが、川条氏には、そんなことをされた覚えが全くなかった。昨年12月、橋下氏と電話で話す機会があり、当時の発言を問いただすと、橋下氏が謝罪した。「作ってました。申し訳ございません――」

 過激な言動で売れっ子タレントの地位を築き、その人気に支えられて知事選で圧勝した橋下氏も、選挙中は「メディアで好き勝手言って迷惑をかけた」と釈明に終始していた。

 「一コメンテーターと知事とでは発言の影響力が全く違う。そこはちゃんとわきまえていると思うが……」。この日、府庁で当選証書を受け取った橋下氏からあいさつされた自民党府議の一人は不安をのぞかせる。

 橋下氏は、当選後のインタビューで「税金をいただく立場になる」と過激発言の封印を宣言しつつ言い切った。「表現方法やスタイルは変えるが、自分が思ったことは貫き通す」

2008年01月28日  読売新聞)
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