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経済

東電柏崎原発、安全確保と情報公開 信頼回復、地元と対話

1月17日8時0分配信 産経新聞


 ■中越沖地震から半年 進む復旧作業

 東京電力の柏崎刈羽原子力発電所(新潟県柏崎市、刈羽村)が昨年7月の新潟県中越沖地震で被災し運転を停止してから16日で半年が経過した。運転再開のめどはたっていないが、3月末までには心臓部の原子炉の調査点検を終え、耐震補強工事に入りたい考えで、復旧作業は急ピッチで進む。電力の安定供給に加え、地球温暖化対策の面でも原子力発電の重要性が高まるなか、安全確保に万全を期すとともに、地元の信頼の回復を図り、再開への道筋をどうつけていくのか。東電の取り組みを現地で取材した。(今井裕治)

 「目指そう!!災害に強い世界に誇れる発電所を」

 柏崎刈羽発電所内では、被災後に張り出されたポスターが目を引く。事務棟の壁には亀裂が残っているものの、原子炉の建物は震災でも外観に目立った損傷を受けず、波打っていた道路もすでに地震前の状態に戻っており、傷跡を見つけることの方が難しい。

 7月の震災では耐震基準の想定を超える強い揺れに見舞われたが、原子炉7基のうち稼働中の4基は地震直後に自動停止。外部への放射能漏れも周囲の環境に影響を及ぼさない軽微にとどまった。現在は、原子炉など内部の設備に損害が及んでいないかの点検作業が最終段階を迎えている。

 ≪多い反省点≫

 原子炉の建物内では多数の所員らが忙しく行き交う。すでに4基で炉内の点検を終えた。これまでのところ、懸念された制御棒などを格納する原子炉圧力容器の損傷などはいずれも確認されていない。残り3基も年度内には終了する予定だ。

 このほか、敷地内の地質調査も実施。3カ所でボーリングを行い、最大1300メートルまで掘り進めて断層などを調べる。安全性の確保と同時に最優先で取り組んでいるのが、地元の信頼を取り戻すための取り組みだ。

 震災直後の広報対応に加え、その後も情報公開などで地元から批判を受ける問題が発覚しており、三友正喜副所長は「反省すべき点が多々あった」と、地元との対話に力を注ぐ。

 昨年10月16、17日に現状説明会を開いたのを皮切りに、11月下旬には東電社員が住民宅を直接訪問する「ふれあい訪問」を実施した。その後も、地元住民に週1回ペースで原発の情報を掲載した広報誌を配布するなど情報提供を強化している。

 また、風評被害を受けた地元経済を支援するため、昨年8月から社員が新潟県に旅行する際に最高14万円の補助金を出し、物産品の購入などで貢献する取り組みを始めた。12月には新潟県に復興資金として、運転停止で県に入らなくなった核燃料税収の1年分に相当する30億円を寄付した。

 住民らで組織する「透明性を確保する地域の会」の新野良子会長は「一層の情報公開の充実で住民の信頼につながる活動を進めてほしい」と注文を付ける。

 ≪一歩一歩≫

 地元では依然、厳しい声が多いが、柏崎商工会議所の松村保雄会頭は「断層は日本全国どこにでもある。安全を確保したうえで一日も早い復興を願っている」と、理解の広がりもみえる。

 今月31日には、国際原子力機関(IAEA)の調査団12人が昨年8月に続き調査に訪れる。前回調査では、同原発の安全性が認められたが、IAEAでは、東電の調査結果などを今後の原発の安全性向上に役立てていきたい考えで、東電でも積極的な情報公開などで全面的に協力する。

 運転停止が長期化すれば、昨年夏のような電力供給への不安がくすぶり続け、代替の火力発電や他社からの電力購入でコストが上昇し、電気料金の値上げを迫られる懸念もある。勝俣恒久社長は「今年最大の経営目標は、着実に一歩一歩、柏崎刈羽の復旧を進めること」と強調する。

 被災の教訓をどう生かし、原発の安全性と信頼性をさらに高めていけるかが、問われている。


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最終更新:1月22日23時40分

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