2008年01月25日 週刊ダイヤモンド編集部
オーマイニュース新編集長に聞く「市民メディアは何を担うか」
──記者の意識が、レベルアップしたわけですね。
その次の発展は、社会性や思考の深まりですね。自分が経験した身近なことの中で、より多くの人が関係してくるものが評価される。年金問題が注目され始めたので、社会保険庁に自分の年金の有無を問い合わせたところ、十分な説明が受けられなかったという経験を元にした記事なども、ディテールがしっかりして質が高いものでした。
電車の優先席についても、いくつか秀逸な記事がありました。優先座席をめぐって自分が体験したことを基に、「対象者自らが、座っている人に向かって、『席を譲って頂けませんか』と言うのは相当に勇気がいる」ことや、「優先席を作ったことで、それ以外の席での譲り合いの精神がなくなった」など、多角的に考察して、多くの人が議論に参加した。
――現時点の課題は何ですか。
記事の質は高まってきたので、次のステップとして今は、「日付を意識してください」と記者に要請している。これまで紹介した記事の事例などは、時間が経ってから読んでも面白いものに仕上がっている。腐りにくいネタが多い。
でも、そういう記事ばかりだと、文字通りの“ニュース”が少なくなってしまい、サイト全体としての勢いを欠いた印象になってしまう。その点は編集部員や契約するジャーナリストの方たちが今は補完しているが、市民記者からも、「今だからこそ面白い」という記事が多く投稿されるようにもっていきたい。
(聞き手:『週刊ダイヤモンド』副編集長 大坪 亮)
オーマイニュース:“市民みんなが記者”をコンセプトに、2000年2月、韓国で誕生。創業者は呉連鍋氏。日本版は、オーマイニュース・インターナショナル株式会社によって06年8月に創刊された。
次回後編『「オーマイニュース」が目指す市民メディアの未来』は2月1日に公開の予定です。
『週刊ダイヤモンド』編集部デスクによる、リレー連載。特集や誌面ではなかなか取り上げられる機会が少ないテーマを取り上げ、鋭い切り口でお届けします。
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