2008年01月25日 週刊ダイヤモンド編集部
オーマイニュース新編集長に聞く「市民メディアは何を担うか」
──外国の映画やテレビ番組が広く観られることで、それこそ知財権を含めた世界の考え方が普及するわけですからね。
趙記者は、そうしたメリットを考慮して、既存の法律を超える「コモン・センス」が発揮されてもいいのではないかと、提言している。知財権を擁護する日本の読者の意見は確かに正論なのですが、常に正論だけを基準として捉えると、考え方は広がらない。
読者からの批判に対する趙記者の反論で、「日本人の遵法精神は素晴らしいが、“お上”が作った法律を絶対視する傾向も強過ぎるのでは?」という問いかけがあるなど、広がりのある議論になりました。
最近マスメディアで最も大きく報じられた「薬害肝炎問題」でも、渡辺亮記者が独自の視点で記事を書いています。厚生労働省が公表した「418症例リスト」を読み、被害者認定の基準に問題提起を行なっています。
──創刊して1年半経ち、変化はありますか。
記事の質は、飛躍的に進歩しています。当初は、「ニュースとは何か」がわかっていない市民記者が多かった。新聞やテレビで流れているものがニュースだと思っていた。
だから、彼らが書く記事は、どこかで読んだような話が多かった。あるいは、すでに報道されたものへの感想が多かった。でも、その類いの記事は面白くなく、読者や編集部での評価は高くない。そういう認知が広まったことで、投稿記事が変わっていった。
変化の一因は、表彰制度にあると思います。週単位・月単位で実施している読者および編集部の評価に基づく「ベスト記事の表彰」です。ここで面白いとして表彰される記事は、自分が事件現場にいたり当事者であったりするものが多く、結果的にそういうものが多くの人から評価されるのだと認知されていったようです。
『週刊ダイヤモンド』編集部デスクによる、リレー連載。特集や誌面ではなかなか取り上げられる機会が少ないテーマを取り上げ、鋭い切り口でお届けします。
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