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旧拓銀訴訟:最高裁「旧経営陣に責任」 賠償額101億円

 旧北海道拓殖銀行の不良債権を巡り、整理回収機構が旧経営陣に計約65億円の賠償を求めた3件の訴訟で、最高裁第2小法廷(中川了滋裁判長)は28日、全額支払いを命じた。判決は「銀行の取締役としての注意義務に反し、ずさんな融資をした」と判断した。旧拓銀経営陣の責任を追及した訴訟は5件すべてが確定し、山内宏元頭取(80)ら当時の役員13人の賠償額は、金融機関の破綻に伴う訴訟では最高額の計約101億円に達した。

 この日、判決があったのは(1)札幌市の建設不動産会社「カブトデコム」(2)東京都江東区の同「栄木不動産」(3)北海道帯広市の内装工事会社「ミヤシタ」への融資を巡る訴訟。

 (1)と(2)では、融資先の倒産回避という目的や担保不動産の評価額などから、正当な融資だったかどうかが争われた。2審・札幌高裁は05年、計40億円分について「拓銀自身の信用を維持するための融資でもあった」などと責任を否定。これに対し小法廷は「破綻時期を数カ月遅らせるに過ぎない融資だった。担保の評価額も実態と掛け離れ、融資決定は著しく不合理な判断だった」と指摘し、2審判決を破棄して計60億円の支払いを命じた。

 (3)は取締役の賠償責任は何年たつと時効で消滅するかが争点。2審で敗訴した元役員が「商法に従い5年の時効が成立している」と上告したが、小法廷は「民法が定める10年」との初判断を示して棄却した。上告しなかった元役員を含め計約5億円の賠償が確定した。

 判決によると、山内元頭取らは90~93年、カブトデコムに約1100億円を融資し、約876億円が焦げ付いた。ほかの2社も合わせ計約950億円が回収不能になり、銀行に損害を与えた。

 同種訴訟では、ともに札幌市のリゾート開発「ソフィアグループ」と系列ノンバンク「エスコリース」への融資でも計36億5000万円の賠償が確定している。ソフィアへの融資では、山内元頭取ら3人が商法の特別背任罪に問われ、2審で逆転実刑判決を受けて上告しており、今回の最高裁判決も一定の影響を与えそうだ。【高倉友彰】

 【ことば】◇北海道拓殖銀行◇ 国策銀行として1900年、北海道拓殖銀行法に基づき設立。55年に都市銀行になり、道経済を支えた。80年代後半のバブル期の建設・不動産融資が不良債権化して経営危機に陥り97年、都市銀行では初めて破綻(はたん)。処理に公的資金3兆4000億円が投入された。

毎日新聞 2008年1月28日 11時23分

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