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「補聴器の電池足りない」ガザのろう学校の悲鳴
2008/01/28
ろう学校の窮状を説明するジェリー・シャワ校長
 パレスチナ・ガザ地区で聴覚障害をもつ子どもたちのためにろう学校を開いているジェリー・シャワ校長が日本のNPO法人の招きで来日し、27日、東京・渋谷区の「JICA地球ひろば」で講演した。

 シャワ校長は「聴覚障害の子どもたちは見ることすら奪われている。家に帰っても電気が止められていて、まっくらで宿題もできない」と、経済封鎖の影響で生活物資が不足している同地区の苦境を訴えた。約120人が参加。

 校長が開くアトファルナろう学校は、1992年に日本のNPO「パレスチナ子どものキャンペーン」の協力のもと開設された。当時の生徒数は27人。現在は約300人の幼稚園から中学校までの生徒を抱え、手話を中心に授業を続けている。

 イスラエルによる経済封鎖下にあるガザ地区では、食料、医薬品、燃料などの生活物資が最低限しか手に入らない。今月23日には、同区のエジプトとの国境の壁が爆破され、生活物資を買い求める数十万人のガザ住民が流入。電力不足や医療品の欠乏など状況は深刻だ。

 物資不足はシャワ校長の学校にも深い影を落としている。聴覚障害の子どもが使う補聴器の電池が不足し、また紙も入手できないので試験は黒板を使わなければいけない。教室での授業中、多い日には数度聞こえるという爆発音に怯えているという。

 「状況は想像を絶するほど厳しい。ガザにいる約150万人の半数は14歳以下。彼らは政治や軍隊とは何も関係がない。(経済封鎖は)集団懲罰だ」。

 シャワ校長は、将来的に高校のカリキュラムの導入も考えている。この報告会は2月3日に大阪でも開催予定。詳細は、「パレスチナ子どものキャンペーン」のウェブサイトまで。
(黒井孝明)




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