修学旅行で大阪に行ったとき、引率の教師が空を覆う工場の煙を指して、成長ニッポンの象徴だと誇らしげに言ったことを覚えている。公害問題が世間を驚かせる前の話である 大空の煙や運河の泥水は、経済発展の懸命な汗とみられていた。その工業都市や天下の台所という商都の歴史を持つ大阪が地盤沈下し、「あかんようになって」久しい。ハコモノ作りに突き進んだ揚げ句、巨額の赤字に苦しむ自治体の代表選手になってしまった 新しい大阪府知事に、テレビで名を売った弁護士が当選した。売り物の茶髪をやめて、イメージチェンジを図ったそうだが、新首長の髪の色より、街がどう変わっていくのか。いささか離れたご近所のよしみで注目したい あれだけ繁栄の時代を過ごしながら、大阪の遺産はどこへいってしまったのだろう。自慢のタネがたこ焼きと串カツでは、浪速の食い倒れの名が泣く。元禄文化を生んだ街で、元気があるのはテレビに出てくるお笑い芸能人というのでは、さみしくはないか 煙が空を覆った後、文化に金を使うことをすっかり忘れてしまったようにお見受けする。もって他山の石としたい。
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