橋下氏勝利に終わった大阪府知事選は、党営選挙を展開した民主党に打撃を与えた。次期衆院選の選挙戦略の練り直しも迫られそうだ。与党には安堵(あんど)が広がったものの、衆参両院で与野党勢力が逆転した「ねじれ国会」の追い風材料にならない現実もあり、勝利感は薄かった。
「勢いがそがれた。都市部をどうするか、真剣に考えなければいけなくなった」
民主党幹部は選挙戦を振り返り、まずは反省を口にした。民主党は「次期衆院選の前哨戦」と位置づけ、昨年11月の大阪市長選に続く連勝で勢いづく戦略を描いていた。
民主党は05年前回衆院選で都市部は大敗。小沢一郎代表は「次期衆院選は大都市と地方の両方で頑張らなければいけない」と指摘しており、都市部対策の試金石でもあった。
告示後、小沢氏は2回大阪入り。11日には新テロ対策特別措置法の採決を棄権してまで、新党日本の田中康夫代表と大阪市の商店街を練り歩き、無党派層へのアピールを狙った。菅直人代表代行も2回、鳩山由紀夫幹事長も5回足を運んだ。全国会議員にも最低1回は応援に行くよう指示した。
ただ、鳩山氏は27日夜、記者団に「(小沢氏の棄権が)全く影響がなかったかと言えば、(敗北の)理由の一つに挙げられるかもしれない」と語っており、ちぐはぐさも隠せなかった。
熊谷氏の擁立が候補者選定にも疑問を投げかけることになりそうだ。衆院300小選挙区のうち64が空白区。また、小沢氏は「勝てる候補を立てる」とすでに決まった公認の差し替えも示唆しており、今回の結果が候補の最終決定に影響を与える可能性がある。
一方、与党は予防線を張る意味からも「国政に結びつくものではない」(伊吹文明自民党幹事長)と位置づけてきた。結果に対して「政党色を出さない選挙だったが、気分的には悪くない」(自民党幹部)との声が漏れたが、橋下氏という特異なキャラクターも加味すれば、今回の結果は劣勢を強いられる暫定税率存廃問題、株価下落などに直接つながるわけではない。
毎日新聞 2008年1月27日 23時58分