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日本に渡った鶴を呼び戻せ

金浦市、日本の自治体の例を手本に代替生息地造成へ

多いときには300羽がやって来たホンド平野、今年はわずか50羽

環境の変化で日本に…金浦市が次の生息地造成へ 

写真提供=野性鳥類保護協会ユン・スンヨン理事長

 今月22日午前10時、休む間もなく降り続く雪で白く覆われた京畿道金浦市のホンド平野。厚手のコートを着た男性3人が息を殺し、雪の上で休む鶴たちを見守っていた。

 「今日は昨日よりも少ない。20羽ほどだろうか」

 細い脚を挙げてゆっくりと歩く鶴たちは、雪の音にも驚いて首を上げた。30分ほど経つと、遠くから車の音が聞こえてきたため半分は飛び去っていった。失望すると共に、双眼鏡を持っていた両手の力が抜けてしまった。

 このように1日に何度もホンド平野に出ては鶴の数を確認しているのは、金浦市環境保全課のチョ・ドクベ課長とチェ・ギュジャン主任。そして18年間鶴を観察してきた野性鳥類保護協会のユン・スンヨン理事長だ。3人はホンド平野の環境の変化により生息地を失い日本へと飛び去っていった鶴たちのために、韓国では初の代替生息地を造成するという「鶴プロジェクト」を推進している。

◆環境の変化で日本へ 

 天然記念物203号のマナヅルは、世界にわずか5000羽ほどしかいない。シベリアで繁殖し鉄原や金浦、あるいは日本で冬を越す。一時は1日に200から300羽が訪れていたホンド平野には、今年はわずか50羽ほどしか見られない。1990年代後半から平野に道路が開通し、ビニールハウスが数多く設置されたことから、鶴が生活できない環境へと変化したためだ。このため、鶴たちは開発が行われていない日本へと越冬地を移している。

 昨年5月に初めて代替生息地について考え出したのは、金浦市のチョ・ドクベ課長。鶴が徐々に減っていく一方で、ホンド平野を天然記念物保護区域に指定して開発を抑制するには多くの時間がかかり、またすでに開発も進んでいる状況のため、時すでに遅し。金浦市は最終的に高村面台里と楓谷里一帯の5万9400平方メートルを候補地に挙げ、昨年は専門機関に妥当性を検討する作業を依頼した。野性鳥類保護協会のユン・スンヨン理事長は、「環境の変化に適応できなかった鶴が、2000年初めから静かな台里へと移り始めた。最善の対策はホンド平野を以前の姿に戻すことだが、それが不可能なら台里へと移すのが次善の策だ」と述べた。

◆出水市をベンチマーキングせよ 

 金浦市の職員たちは今月5日、鶴の代替生息地造成の成功事例とされる鹿児島県出水市へ見学に行った。人口4万5000人の小都市である出水市は、一言で言って「鶴で生活するまち」だった。6年前から田に餌をまいて鶴を観察した結果、ナベヅルやマナヅルなど毎日さまざまな鶴1万2000羽が飛来するようになった。世界の鶴の80%がこの地で越冬するのだ。とりわけ最近は韓国からマナヅルが移って来て、その数がさらに増加している。出水市は冬の間だけ農家から田を借り上げ、適正な補償を与えることにより、農家との対立も解消した。

 金浦市は出水市をベンチマーキングし、今年10月を目標に代替生息地の造成に力を入れる予定だ。プロジェクトの第1の原則は、「すべてを鶴の立場で考える」だ。身を隠す習性のあるマナヅルのため各所に葦を植えるほか、水辺で生活する習性に合わせ、水を張った田も造成する。マナヅルが最も好むクログワイを十分に植え込み、低い丘の地面をくちばしでつついてエサを食べることができるよう、人口の丘も作る予定だ。金浦市のチョ・ドクベ課長は、「プロジェクトを必ず成功させ、日本へ渡った鶴たちを必ず連れ戻したい」と述べた。

金浦=キム・ヨンジュ記者

朝鮮日報/朝鮮日報JNS
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