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(cache) 捕鯨船団狙う過激団体 豪・NZが”後方支援” - MSN産経ニュース


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捕鯨船団狙う過激団体 豪・NZが”後方支援”

2008.1.27 20:45
 南極海でクジラの生態調査を行っている日本の捕鯨船団の動向が連日、世界に報道されている。船団を追う2つの環境保護団体がネットなどで自らの妨害活動を即時に広報し、捕鯨や日本の鯨文化への異議をアピールしているのだ。両団体に親近感を寄せる反捕鯨国のオーストラリアやニュージーランドと日本の関係にも、悪影響がもたらされている。今年、日本で行われる主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)の警備態勢にも、新たな懸念材料が出てきた。(佐々木正明)
 今月15日、捕鯨船第2勇新丸にシー・シェパード(SS)の活動家2人が乗り込んだ侵入劇。甲板には失明の危険もある悪臭弾が投げ込まれ、スクリューを停止させるためのロープが船の周りにまかれるなど緊迫化した。
 拘束時に「天ぷらを食べたい」とまで催促した活動家2人に、日本側は求めに応じた。SSのポール・ワトソン船長は日本の捕鯨船団を「人質を誘拐したテロリスト集団だ」とまで挑発。後に活動家を船に居座らせ、捕鯨活動を停止させる作戦であることが判明した。
 「衝突をエスカレートさせるのがわれわれの目的。日本人は完全にひっかかった。世界に日本の捕鯨の違法性をアピールできた」。ネットに掲載された声明だ。
 反捕鯨を掲げるSSはこれまでも、過激な活動を世界各国で繰り返してきた。アイスランドの捕鯨船の船底に穴をあけて沈めたこともある。米連邦捜査局(FBI)は「エコテロリスト」と断じている。
 ワトソン船長は「死者やけが人も出したことはないし、われわれの仲間が裁判で重罪を受けたこともない」と言う。しかし、水産庁によると、これまでの妨害行為が海上保安庁などに訴えられている。ワトソン船長は日本入国と同時に、威力業務妨害容疑などで事情聴取、立件される可能性もあるという。
     

 SSが、このような暴力的な行為に訴えるのはなぜなのか? 今回の捕鯨船団を派遣している日本鯨類研究所の石川創調査部次長は、(1)公海だから日本警察当局に逮捕される心配がない(2)強硬な反捕鯨政策をとるニュージーランドとオーストラリアの支援がある(3)両国の住民や企業などから寄付金が集まる−などを主な理由に挙げている。
 SSの抗議船は豪西岸のフリーマントルを母港としている。かつては日本の捕鯨船も給油のため立ち寄った港だが、現在のタグリアフェリ市長が「日本人たちは鯨を殺す何の法的権利も持たない。SSの哲学に共鳴できる」として一昨年7月に受け入れを表明した。
 豪沿岸都市は、観光資源としてのホエールウォッチングを守るための意識が高い。同市の広報資料は、SSのメンバーを「海の闘士」とたたえる。小学生からは募金が集められ、市長自らワトソン船長と握手をした写真を掲げる。
 一方、SSと同様に妨害活動を行っているグリーンピース(GP)。反捕鯨強硬政策をとる豪のラッド首相は、元GP理事のピーター・ギャレット氏を環境相に抜擢(ばつてき)。豪主要メディアもGP支持の姿勢が色濃い。GPの捕鯨船団への妨害活動の記事と一緒に「捕鯨者たちは帰れ。さあ募金を」というGPの広告を掲載した新聞のサイトもある。
 GPジャパンでは「南極海では、国際捕鯨委員会が商業捕鯨を禁止しており、鯨肉を国内に流通させている調査捕鯨の正当性が疑わしい。偽の調査を全世界にアピールするための抗議活動は有効だ」と主張する。しかし、水産庁遠洋課は「この抗議こそが寄付金集めのパフォーマンスだ」と言う。
     

 25日、GP抗議船は燃料切れで捕鯨海域から離脱した。SSの抗議船も燃料切れは時間の問題で、2週間に及んだ南極海の攻防もとりあえずは沈静化に向かいそうだ。
 しかし、日本側にとっては新たな懸念材料が出てきた。今年、日本が会場となるG8サミットの警備問題だ。
 近年のサミットでは、反グローバリズムをかかげる環境保護団体などが警察部隊と衝突し、暴力的な破壊活動を起こしている。世界に反捕鯨をアピールする格好の場となる日本では、抗議活動が活発化する可能性がある。
 警察庁は、7月の首脳会議会場の北海道洞爺湖を含め全国で、活動家らの情報を集めているという。5月下旬に神戸市で開かれる環境大臣会議の警備を担当する兵庫県警は、今回の捕鯨船への妨害に着目。警備責任者は「シー・シェパードについては海上からの抗議も警戒し、陸海空と総合的な見地で警備を強化しなくてはならない」としている。
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