増田俊男の時事直言!

NO.100(2000年7月7日号)
100回記念特別号

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SICクラブ http://www.sunraworld.com

1995年

私は1995年4月19日円が史上最高値(1ドル79円台)をつけた直後、20年間のアメリカ生活を終えて帰国した。横須賀の私立大学で講演を頼まれたのがきっかけとなり、帰国を決心することになった。目に映るもの、耳に聞こえるもの、総て驚きであった。1974年の日本、田中角栄の日本は何処にも無かった。大の大人が電車の中で漫画を読み、隣では働き盛りの中年が居眠りをしている。都心を歩けばサラリーマンの大群が背を曲げてモク拾いのように下を向いて黙々と一定方向へ移動している。グレイ色した同じ運命体の生物が地球を這っているようだった。私は寒気がした。隙を見せたら死が待っているアメリカから、殺意はおろか、生きる意志さえ見えない空白の世界に私はいた。「日本が消えてしまった・・・」驚きと空しさが私を奮い立たせた。あの「偉大な日本をもう一度この地球上に再現しよう」そう思い決心した。何だか自分が日本に、この日、この時帰国したことが運命のように感じられた。 


『時事直言』

私は生活の糧のため銀行の掲示板に「ビジネス英語教えます」というビラを貼った。数人の生徒が出来た。誰も英語は学校でマスターしているはずなのに、全く手のつけようも無いひどさだった。そうこうしているうちに私はアメリカ通と言うことになり、色々な会社からアメリカの会社との契約を見てくれと頼まれるようになった。帰国後半年目である。

ほとんどがアメリカ側だけが有利なものばかり、中には上品な詐欺まがいのものまであった。私は多くの日本のビジネスマンや一般国民は今日の世界を全く誤解していることに気が付いた。さらに驚いたことは世界が、特にアメリカが認識している日本と日本人自身が、ほとんど無意識に持っている日本の概念とはまるで異なることを知った。そしてこの事実が日米通商に又政治にあらゆる問題を起こしていることがわかった。

私は決心した。たとえその影響は小さくてもいい、日本人が今日置かれている正しい日本を知ってもらう為の努力をしよう、そしてアメリカとは何かを知ってもらおう。そんな思いから「時事直言」を思いついた。 


江尻真理子

私は横須賀の私立大学の講演で江尻真理子(ワイフ)と知り合った。これもまた、ものすごい運命である。40歳過ぎているのに「適当な人が見つからなかった」と言って未婚。彼女は私の「時事直言」ほとんど全部の文章を赤字で訂正する。講演(講演などと言えたものではなく、単なるお話)をすると点数をつける。大抵20点から30点でいつも落第点。「みんなあなたのこと生意気な奴だと思ったわよ」、「話の内容はすばらしい、でもあれでは人の心に残らないわ」

私は自分なりのやり方を批判されるのには耐えられなかったが、実は少し彼女のアドバイスを取り入れてみたら「先生、僕に出来ることがあったら何でもしますから教えてください」と堅い握手を求める若者達が急に増えてきた。効果的面であった。そこで全面的に彼女の言う事に従う事にした。すると私はたちまち大人気になり、あちこちから講演の依頼が来るようになった。それでも時々講演の参加者が少ないと、彼女はまるで自分の責任のように夜遅くまで友達に電話を掛けまくっている。私も一生懸命新しい知識を学び彼女の努力に答えなくてはと思い、だんだん睡眠時間が短くなっていった。


船井幸雄先生

1997年12月27日、「私は船井幸雄ですが、増田さんはいらっしゃいますか」と電話が入った。「先生、船井先生からお電話です」と言う。「船井先生って誰?」「先生、船井幸雄をご存知ないんですか」実際知らなかった。「とにかく偉い先生なんです、船井先生は!」「ああ、そう」電話の声は大変おとなしく、実はあなたの「時事直言」を読んだ、今執筆中の「人間のあり方」に時事直言No.1の「フジモリ大統領は確信犯」を載せたいので了解してもらいたい、ということだった。勿論OKした。するとまた電話があり、1998年1月8日新宿のヒルトンホテルで「コスモスクラブ」(経営者会議)があるので飛び入りで話をして欲しい、と言う。300名以上の経営者が日本全国から来るという。いつも多くても、30名ぐらいの会ばかりの講師の私にしたら夢のようなチャンスだった。柔道の山下泰裕氏、三菱総合研究所の高橋乗宣氏、とそうそうたる講師陣。昼食前の幕間にいただいた20分、これで私のデビューを飾らねばならない。私は「奇跡」を起こすことにした。 


イエスキリスト

私は何故キリスト教が今なお精神界をリードしているか知っている。キリストが奇跡を起こした事と身と心を人類に捧げたからである。奇跡と犠牲である。私は会場でとっさに、私もそうしようと思った。私は近く英米軍がイラク攻撃をする証拠を掴んでいた。別にCIAから聞いたわけではない。97年暮れにサイパンに行った時、江尻真理子が経営するコーヒーショップにいた米人水兵から沖に停泊していたメンテナンス船が急遽中東に行くことになったと聞いたからである。ミサイル爆撃機の修理、点検を専門とするメンテナンス船は必ず事前に戦地に召集される。1月8日はメンテナンス船がサイパンを発って10日目だったから、そろそろ攻撃が始まるなと踏んでいた。そこで私の話の中に「近く湾岸戦争がはじまる」と言った。湾岸危機の話は何処にも無いのでみんな怪訝な顔をしていた。これは結果が直ぐ出る話。次に長期的予測もした方がいいと思い、(これも確かな理由があってのことだが)ほとんど金融アナリスト全員が「超円安」を言っていたので、私は「10月超円高」を唱えた。講演が終わった翌日湾岸戦争が始まったことを出席者の一人が驚きの声で知らせてきた。又147円の安値の円は待っていたかのごとく10月9日になると111円に高騰した。 


出版

船井先生は「増田さん、本を出しましょう。増田さんはまだ無名だから、私と共著にしましょう」と言って「日本は何処まで食われ続けるのか」(徳間書店)、「日本はこれから良くなる」(徳間書店)は渡部昇一先生も加わっていただいた。「増田さんもう一人で大丈夫」と言われ「資本の意志が日本を復活させる」(徳間書店)を単著で出した。驚いたことに発行部数は前著に見劣りすることはなかった。以後「目からウロコ おカネがお金を産む時代」(太陽企画出版)、「目からウロコ お金儲けの法則」(ビジネス社)、「沈むアメリカ、浮上する日本」(風雲舎)、「破壊と創造のサイバー資本主義」(太陽企画出版)、そして月刊「資本の意志」も第4号目、定期購読者も増えてきた。


講演会

昨年私は延べ180回の講演を行った。おそらく日本一、いや世界一多い講演数だろう。竹村健一先生はラジオ出演、対談、又テレビ(フジTV)で私のことを述べて下さり、大変お世話になった。総じて「資本の意志」と「日本の真実」について繰り返し述べてきた。本年は「新しい日本を作る力」を発見し、発展させることを主眼とする。出来ることなら日本の為に尽くそうと心から思う人達の力強い輪を作りたい。「和は輪をもって力となる」。理想だけでは自己満足、歴史に足跡を残すにはどうしても「ソロバン上手」でなくてはならない。与えるモノ無くして自己の存在感は無い。我々の輪によって和の精神を実現し、後世に残すことが我々の使命であり、そうすることにより、我々は歴史に足跡を残せる。


2005年

日本人ではなく、アメリカの主権者の利益を保証する日本国憲法は制作者、アメリカの責任において破棄されねばならない。アメリカの利益は憲法の最高法規によって保証されている。対外条約と国際法規はわが国の主権より上位にある(第98条)。日米安保は国会決議では破棄できないし、租税条約でアメリカは移転価格を理由にしてわが国の国税を超越して日本企業から膨大な税を強制的に徴収する、が日本は一切アメリカ企業から取れない。この不平等条約も最高法規だから国会決議で破棄も、改正も出来ない。日本国憲法はアメリカの主権者の為のアメリカ憲法と言われるのは当然であり、事実である。こんな憲法下の日本に主権が無いのは当然のこと。この不幸な事実は現日本国憲法がある限り変わることは無い。アメリカは形式的に日本国憲法を否定することが出来ないから、広島・長崎原爆投下による無差別殺戮と東京リンチ裁判の罪を公式に謝罪させることにより、事実上アメリカが造った憲法をアメリカに否定させるのが筋である。

今年中にこの謝罪運動を内外で展開してゆく。2001年(21世紀)を日本元年にしよう。

これから、あらゆる機会でお目にかかり、互いに日本人であることを誓いましょう。


SIC(サンラ・インベストメントクラブ)

「ソロバン片手にお経を読む」のソロバンの分野を担当するのがSICである。1年半前27名の会員で始まった当投資組合は今や700名以上の会員。実績は好調そのもの。投資対象は総てシリコンバレーを中心にした未公開株。IPO(上場)待ちが行列の状況で期待に胸が膨らむ。配当は年30%以上、資産増は年48%と発表された。やがて配当だけで元本を上回りそうなパーフォーマンス!日本がアメリカの支配下から独立する為の原資をアメリカのシリコンバレーで稼ぐとは皮肉なものである。小さい力を大きく結集し、大きな力となって無から有を産む投資、早期投資(シードインベストメント)を行う。これこそ我々の理想をかなえる道である。増え続ける資金の輪と同じ心の輪が我々の理想をかなえる。

「時事直言」100回記念にあたって、増田俊男


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発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)