インタビュー&動画コメント掲載! 哀川翔、阿部サダヲら異色キャストが集結し、三池崇史3年ぶりの舞台が決定! 『座頭市ZATOICHI』

INFORMATION

[東京公演日]
2007年12月3日(月)〜16日(日)
新宿コマ劇場

[大阪公演日]
2007年12月20日(木)〜29日(土)
梅田芸術劇場 メインホール

[発売日程] :プレオーダー、:一般発売
受付中 〔東京〕
受付中 〔大阪〕

   
哀川翔さんからのコメント

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阿部サダヲさんからのコメント

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e+ special interview 三池崇史×哀川翔×阿部サダヲ

 言わずと知れた勝新太郎の長年の当たり役であり、その後、北野武監督により改めて映画化もされた『座頭市』が2007年、新たな息吹を吹き込まれる!
 "日本一忙しい映画監督"という異名をとる鬼才・三池崇史演出による舞台化で、盲目でストイック、人情に厚いヒーロー"市"にはこれが初舞台となる"Vシネマの帝王"哀川翔が挑むことになった。さらに"市"を慕い共に旅をする、耳の聞こえない琵琶弾き"八"には幅広い役柄をこなし進境著しい、大人計画の看板俳優・阿部サダヲが扮することも大きな魅力。
 どう転んでも一筋縄ではいかないはずの、この豪華な顔合わせ。演劇の枠を軽々と超え、エンタテインメント界の伝説と語り継がれる舞台が誕生しそうだ。

 

稽古をやればやるだけ、"市"が背負っているものや
訴えかけたかったものがわかってきた気がする(哀川)

――三池監督にとっては3年ぶりの舞台のお仕事ですが、今回、引き受けるに当たって一番魅力を感じたのはどこですか。

三池 やはり組み合わせ、ですね。コマ劇場という場所に、ここまで集まっちゃったか! という(笑)。あそこってブラックホールみたいな感じしませんか。

哀川 なんか不思議だよね。なんで歌舞伎町に、コマ劇場があるんだろう? って思うよ。

三池 ある意味、あそこは別世界ですよね。

――哀川さんは初舞台です。舞台のお仕事には、以前から興味があったんでしょうか。

哀川 興味なかったですよ。足を踏み入れちゃいけないところだと、俺はずっと思ってたから。だからもう今は、ヤバイヤバイ(笑)。

三池 うっかり踏み入れちゃったもんだから。

哀川 本当に、ヤバイんですよ。

――なにが哀川さんの背中を押したんですか。

哀川 そりゃあ、三池さんが「やらないか」って言うから。あまり深いことを考えずに足を踏み入れてしまって、すっかり大変なことになっていますよ。

――阿部さんは今回の舞台のお話を聞いて、どんなことを思われましたか。

阿部 三池さん演出で、翔さん主演で、演目は『座頭市』で、場所はコマ劇場。もう、それだけでしたね。あとはなにも聞かずに「やります!」と即答しました。

――今の時点で、それぞれの役柄をどう演じようと思われていますか。

哀川 演じようというより、だんだんそっちよりになってきていますね。でもまだ追いついていないんだけど。座頭市っていう人物というか作品に対して、だいぶ前から入れ込んでいたんで、稽古が始まったらスッとその世界には入れたんです。だけど実際、"市"を演じてみたら「やっぱ辞めときゃ良かった……」って思ったり。いや〜、「市だけはヤバイだろ!」って思うでしょ。

――負担に感じてきた?

哀川 負担ということではないんだけど、これはもう、予想以上でした。ただ、市が背負っているものとか、市が訴えかけたかったものは、稽古をやればやるだけわかってきた気はするんです。自分なりに、ですけど。

阿部 僕の演じる"八"という役は、翔さんの演じる座頭市みたいにみんなが知ってる役柄ではなく、今回の新しいキャラクターなので。オリジナルなので、自由にできますからそんなにプレッシャーはないんですけど。ただ、やっぱり耳が聞こえないという芝居は難しいです。

――耳は聞こえないけど、唇が読めるから会話が成立している、という設定ですよね。

阿部 はい、そうなんです。

三池 市も八も、そういうことをずっと繰り返して生きてきた人たちなので。だいたい人間の気持ちが読めるようになってきているんですね。

――目が見えなくても、耳が聞こえなくても相手の気持ちがわかる。

三池 実際、普通に会話をしていても、言葉では嘘を言い合っているんだけど、その裏の本心は読めることってあるじゃないですか。それは、ちゃんと言葉が聞けるから本心がわかるということではない。そこらへんの感覚がより、研ぎ澄まされている人なんですよ。

哀川 それにしても、サイコロの音が変わっただけでわかる耳を持っているっていうんだから、市はとんでもない男ですよ! ねえ!

阿部 ホントに(笑)。すごい男ですよ。

哀川 ある意味"ゼブラーマン"よりすごいと思うね!

阿部 アハハ! でも、特に腕がたつというか、剣が使えるわけじゃないのに。そのイカサマがばれたらどうするんだろう? って、自分で演じていても思いますよ。きっと、そういうことをいろんな場所でやってきた男なんでしょうけど。

哀川 生きることへの貪欲さはすごいよね、ビックリする。なんか「阿部サダヲ!」って叫びたくなるようなキャラクターだよ(笑)

 

役者は閉じ込めておいたほうが、そこから出ようとして
本番でなにかがあふれて炸裂するかもしれない(三池)

――監督からお二人に、注文とか要望はあるんですか。

三池 注文っていうか……。なにをどう注文すればいいんだろうっていう状態ですよ(笑)。ただ、舞台に立って、後悔だけはしてほしくないな。ある意味、俺と翔さんは近いわけですよ、映画をメインにやってきているから。でも阿部さんは舞台のプロじゃないですか。舞台のプロに素人の演出家がああしてくれ、こうしてくれもないので。

阿部 えっ、そんなことないですよ。

三池 でも、本番で役者を炸裂させるためには、メチャクチャなままにしておくわけにはいかないので。なんかシバリというか、ルールが必要かなとは思っています。できるだけ、閉じ込めたほうがいいんじゃないかなって気はしているんだけど。

――閉じ込める?

三池 舞台って自由なんで、広いままだとそこで燃焼しちゃうじゃないですか。でも狭くして閉じ込めると、そこから出ようとするから、なにかがあふれて炸裂できるんじゃないかと。

哀川 うん、俺もそのほうがいいな。ここしか歩いちゃダメだよって決めてもらったほうが、歩きやすいし。舞台って、なにも決まってないじゃないですか。ものすごくアバウトでしょ。だから、できるだけ自分のなかで動線を決めておかないと動けない気がする。

三池 映画の場合は、カメラが向いてないところにいったら写らない。でも舞台は役者にチカラさえあれば、もし照明が当たってなくても、売店まででもお客さんはついてきますから。そっちのほうになにかあるんだと思わせることさえできれば。

哀川 そうね、そっちにいくよね。まあ、自分はなにしろ舞台は初めてなんで。そういうところを理解しないと進んでいけないし。そのためにも、稽古ってものすごい必要でしょ。ただ……、イヤなんだよねー、稽古。

阿部 そうですか?

哀川 いや、絶対やらなきゃいけないことはわかっているんです。でも、とにかく早く本番になってもらいたいな。

――やはり本番のほうがお好きですか。

哀川 だって、よく考えたら俺、今までずっと本番しかやってきていないんだよ。稽古なんて、したことがないんだもん。なんだか今は、空気のないところに押し込まれているみたいな感じですよ。それだから、稽古場から表にパッと出たとき、ハァ〜! ってなっちゃう(笑)。

三池 息ができないんだ(笑)。

――でも、その分、本番で炸裂できるかもしれない。

哀川 たぶんね。でも、今はそれくらい苦しいですよ。稽古場、いきたくないもん。

阿部 そんな!(笑)

 

コマ劇場で、哀川翔さんで、三池監督だなんて、
こういう機会は二度とないと思いますよ(阿部)

――演出的には、今回の狙い、ポイントは。

三池 プロデューサーには怒られちゃうかもしれないけど、どうしていいかわからないんですよ、芝居って。表現する、演じるほうの空間があって、そのなかでは自由なわけじゃない。だからなんでもできるし、なにをやってもいい。じゃ、斬新なことを考えなきゃいけないのかっていうと、別に斬新なことをやるために舞台をやるわけでもなくて。新しいことにだけ意味があるわけでもないからね。たまたま前回やった舞台もオリジナルじゃなく、『夜叉ヶ池』っていう古典戯曲だったんですよね。古い、オーソドックスなもののなかに、なんかあるだろうって思ったんです。

哀川 いや〜、おもしろかったですよ、『夜叉ヶ池』。俺は観に行ったんですけど、意味わかんなかったね、なにがなんだか。でもおもしろかった。阿部サダヲが出ている大人計画の舞台も、俺には意味がわからないんだけど、これもやっぱりメチャクチャおもしろい。俺、舞台っていうのはそういうことかなと思うんだ。だから、ここで俺が意味を追求しちゃうとだめなんじゃないかと。

――じゃ、意味がわからないままでも、おもしろいと思えればそれでOK。

哀川 そう。もし、なにかあっても監督がそれでいいと言ってさえくれていれば、それでいいんだよ(笑)。

――では最後に、お客様にお誘いのメッセージをそれぞれからいただけますか。

哀川 お誘いですか? うーん、そんな、誘えないっすよ。

阿部 え〜!(笑)

三池 見られたくないってこと?(笑)

哀川 いやいや、軽々しくは誘えないってことですよ。でも結構、おもしろくなると思いますよ。俺自身が、すごくおもしろいと思っているから。みなさんがガッカリしない座頭市を、必ずお見せします!

阿部 たぶん、こういう機会はもう二度とないと思うんですよね。だって、新宿コマ劇場で、哀川翔さんで、三池監督でっていうのは。

哀川 おそらく、これが最初で最後ですよ!

阿部 本当に、なかなかない舞台だと思いますので。みなさん、ぜひ!(笑)

三池 もはや俺は観客気分ですから(笑)。とはいえ、稽古は翔さんも本気モードでおもしろいし、みんながお互いに探り合ってるところもおもしろいし。もう、あとは加速していくだけですね。

哀川 それとね、とんでもないラストですよ、台本上では短いシーンだけど、やると長いんです。

三池 ある種、魂、パワーで押しちゃう、みたいな場面ですね。

哀川 映画的に言うと、ト書き2行だと思って油断していたら、3日かかってるじゃねえか! みたいな感じ(笑)。わかります? この2行の撮影が3日かかるのかよ! って感じで、先が読めないんですよ。

阿部 なるほど。そうですね。

三池 そこもぜひ、楽しみにしておいてください(笑)。

 

写真/渡辺マコト
取材・文/田中里津子

三池崇史 profile

 1991年のVシネマ『突風!ミニパト隊』で監督デビュー、1995年の『新宿黒社会』で初の劇場用オリジナル作品を手掛ける。以降、コメディ、バイオレンス、ホラーなど多岐に渡るジャンルで映画制作を続ける。最近の作品に、『着信アリ』、『ゼブラーマン』、『46億年の恋』、第64回ベネチア国際映画祭正式出品された『スキヤキ・ウェスタンジャンゴ』、『クローズZERO』などがある。

 

哀川翔 profile

 一世風靡セピアの一員として「前略、道の上より」でレコードデビュー。ドラマ『とんぼ・連続ドラマ』、映画『オルゴール』での新人らしからぬ存在感が認められ、一躍脚光を浴びる。1990年以降は、東映Vシネマシリーズで、数多くのヒット作に主演しヒットシリーズを生む。2005年には、主演100本目の映画、三池監督作品『ゼブラーマン』で日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞する。本格的な舞台出演は今回が初めてとなる。今後は、『SS』(2008年1/22)、『クロサギ』(2008年3/8)の公開が控えている。

 

阿部サダヲ profile

 1992年より大人計画に参加。以降、同劇団の作品に出演するほか、NODA MAP、劇団☆新感線などの外部作品にも多数出演する。最近では、舞台『キャバレー』、『ドブの輝き』などがある。また、映画『舞妓Haaaan!!!』では、長編映画初主演をつとめ、大ヒットを記録し話題を呼ぶ。現在は、ドラマ『医龍2』に出演中。コントバンド「グループ魂」のボーカル"破壊"としても人気を博している。また12/2に『舞妓Haaaan!!!』と「グループ魂」のDVDが発売される。

 

STORY

 甲州街道沿いの宿場へ、賑々しく楽を奏でながら、朱太夫(麻路さき)という美貌の女座長率いる旅芸人の一座がやって来る。二年ほど前、旅の途中で山賊に襲撃されて一座の大半が殺され、その当時は歌い手の一人に過ぎなかった朱太夫が、自らが座長となり復活させた一座である。と、朱太夫が巨大な市(哀川翔)の手配書を認め、驚く。朱太夫は、かつて市と旅の途中で出会い、すれ違いにちょっとした付き合いを持ったことがある。朱太夫はいつの間にか賞金首となってしまっていた市の身を案じる。
 一方、とある町の鉄火場には座頭市がいた。いかさまを見抜いた座頭市は、チンピラに追われていた。そこに一人の浪人・竜之介(遠藤憲一)が割って入る。竜之介の見事な太刀捌きで、その場をしのぐ。言葉を交わす二人。この竜之介という人物は、なかなかの人物のようである。竜之介もまた、座頭市のただならぬたたずまいに魅了される。その光景を見ていた琵琶弾きの八(阿部サダヲ)が、座頭市に声をかける。八は耳の聞こえない琵琶弾きであった。盲目の座頭市と耳の聞こえない八は意気投合し、次の宿場町までの旅を共にすることにする。鉄火場のある町を後にした座頭市と八は次の宿場町への道すがら、朱太夫の一座と遭遇するのだが……。