山村浩二監督のアニメ映画「カフカ 田舎医者」を見た。吹雪の夜、遠くに急患がいるのに、馬車を引く馬がいない。なぜか豚小屋に馬がいて出掛けたものの、患者の傷を診た時に医者は、お手上げの状態だった。どうすることもできない絶望感と、義務感との間で揺れる姿が描かれていた。
カフカの小説や短編は、個人とシステムとのずれで生じる不条理やかっとうを浮き彫りにする作品が多く、いくつか読んだ。「田舎医者」は、へき地の救急医療ともテーマが重なる。医療問題が深刻な現代を生きる私たちには、身近な話として考えられるのではないか。京都市の京都みなみ会館で2月1日まで上映予定。(高瀬)
毎日新聞 2008年1月27日