大寒の雪の中での揺れだった。奥能登が震源と分かった時に思ったのは「天は罪なき人好む」の震災の句である。今回と同じような冷え込む朝に発生した阪神大震災で多数の知人友人を奪われた人のうめきであった 一九九五年の阪神大震災以後、大地震は明らかに日本海側と西日本に移動した。鳥取西部(00年)、中越(04年)、福岡沖玄海(05年)。そして昨年の能登半島と中越沖である 三陸沖や北海道東部が静かになった代わりに「無情な天」は日本海側をねらい撃ちにしているように見える。それも復興と寒さに戦う人々を二度も襲うとは「罪なき人好む」と嘆きたくもなる 先の能登半島地震発生で、日本海側の地震のメカニズム調査が始まることになった。本震から十カ月後の震度5は異例という。震源が陸地に移動しているのも不気味だし、奥能登の震源から富山県方向に震度の大きい地域が集中しているのも不思議だ 学術的な研究で、地震が防げるわけではないが安心料としては意味がある。今回の地震は被害件数以上に、残した不安が大きい。行政の対応はスムーズだったようで、これは不安解消の足掛かりとしたい。
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