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縁起物の“千匹亀”折り上げる　鶴岡の伊藤さん

2008年1月26日(土) 15:39

親子間の殺傷事件がなくなることを願い、縁起物の亀を1000個折った伊藤進さん

　千羽鶴ならぬ千匹亀－子どもやお年寄りなどに折り紙指導のボランティア活動をしている鶴岡市海老島町の伊藤進さん（66）が、5カ月をかけて1000個の海亀を折り上げた。親子間での殺傷事件が相次ぐ中、1件でも少なくなればとの思いを込めて縁起物の亀を作った。クリップで尻の部分を止め、磁石での釣り遊びにも使えるようにしており、伊藤さんは福祉施設や保育施設などに贈りたいとしている。

　伊藤さんの父は戦死している。両親と一緒に暮らせることがどれだけ幸せかを身に染みて感じており、親が子を殺したり、子が親を殺したりする最近の事件に心を痛めている。「親子が互いに信じ合い、助け合って暮らす社会になってほしい」との願いを託し、昨年8月から“千匹亀”の折り紙作りに取り組んだ。

　鶴を折るよりも難易度が格段に高く、力も必要で、1個を作るのに2倍も3倍も時間がかかる。甲羅の膨らみを出すところや首の部分の折り方が特に難しく、途中で、指に傷テープを張りながら作業したこともあった。

　100個までは順調だったが、300個を数えたころには「あまりに大変でくじけそうになった」。しかし、「自分が苦しい思いをした分だけ、これを手にした相手に喜びを感じてもらえるのでは」と自らを鼓舞し、折り続けた。

　海亀には特別な思いがある。伊藤さんは幼少からあまり器用ではない方で運動も苦手。いじめの対象だった。15歳のころ、雑誌で海亀の折り方を見て、四苦八苦しながら10日もかけて作った。その愛らしさに感動した。同時に「こんな自分でもできるんだという自信が付いた」。以来、折り紙に打ち込み、いまや300以上のレパートリーを持つ。県や市の生涯学習の講師としても活躍。「まさに海亀は人生の転機になった」

　これまで福祉施設や病院、児童館などに千羽鶴を贈ってきた。1000個の亀もプレゼントしたいという。飾っておけるほか、磁石遊びもできるため交流などにも使える。「ぜひ希望を寄せてほしい」と呼び掛けている。0235（22）2511。

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