ガザ武装勢力がエジプト国境の壁爆破、数万人買い出し越境2008年01月25日14時30分 イスラエルによる制裁で物や人の出入りがほとんど止められているパレスチナ自治区ガザで23日、正体不明の武装勢力が南部のラファのエジプト境界にある壁の一部を爆破した。ガザの住民ら数万人がエジプト側に殺到し、食料や燃料などを買いだめして戻った。封鎖に風穴を開けようと、住民らが実力行使に出た模様だ。 ガザからの情報によると、ガザを支配するイスラム過激派ハマスは壁爆破などへの関与を表向きは否定したが、アブズフリ報道官は「封鎖で苦しむ住民の願いは止められない」と黙認する態度を示した。エジプトのムバラク大統領は「武器を持っていないことを条件に、食料などの買い出しを認めるよう軍に指示した」と住民の流入を許したことを明らかにした。 壁は未明に十数カ所で爆破された。ガザではエジプトから地下トンネルを使った密輸が盛んだが、密輸業者は朝日新聞の現地助手に「今日は商売あがったりだ」とため息をついた。 ガザの人々はラジオなどで爆破の情報を聞いて車でラファに向かい、中心部のガザ市などでは人通りが途絶えた。 武装勢力は壁の爆破後にブルドーザーで道をならし、車も通過できるようにした。住民らはエジプト側のラファのほか約40キロ離れたシナイ半島北部のアリーシュにも向かい、封鎖のために不足している乳製品や砂糖、炭酸ソーダ、たばこ、ガソリン、セメントなどを買い込んだ。 3回往復したという教師のアブムハンマドさん(45)は「まるでお祭りのようだ。生活苦の悲劇が毎日続くが、久しぶりに喜劇を体験できた」と皮肉を込めて語った。 イスラエルは昨年6月にハマスがガザを武力制圧してから、境界を全面封鎖し、人道物資以外の供給を大幅に制限している。ガザでは燃料不足のため数時間の計画停電が毎日続く。建築資材や機械のスペア製品などは輸入を禁止され、労働者は働き場を失った。 壁はイスラエルが05年にガザから撤退するのに備えて、テロリストの侵入防止用に造られた。エジプトはこれまで、イスラエルの要請に応じてラファの境界を閉鎖してきた。22日にはハマスを支持するガザの女性数百人が境界に押しかけ、開門を求める圧力をかけた。 ハマスに影響力のあるロンドンのイスラム政治思想研究所のアッザム・タミミ所長は22日放映の英BBC放送の番組で「エジプトはガザを助けられるのに、年間20億ドルを超す米国からの援助を失いたくないため、イスラエルの言うことを聞いている」と述べるなど、エジプトへの圧力が高まっていた。
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