韓国は東アジア物流のハブ機能を仁川国際空港に持たせるという戦略を推進している。
日本企業も上海から成田や関空に入ってくる貨物を、鉄道やトラックで日本各地に運ぶという従来の日中物流システムではなく、韓国の仁川国際空港のハブ機能を活用する方策の検討に乗り出している。
実際、24時間対応の仁川国際空港の敷地面積は成田の4.5倍。空港設備・施設も世界のトップレベルである。運用コストも安く、日本の21の空港や中国各地にも乗り入れている。
すでに中国などから米国に向かう航空貨物は、日本経由よりも韓国経由が上回っている。東アジアの航空物流戦略で日本は韓国に一歩も二歩も後れを取っている。
世界の主要国の空港はハード、ソフト両面において飛躍的な進化を遂げている。日本も経済グローバル化の流れを踏まえて国際物流戦略を充実させていく必要がある。
近年のアジア各国の巨大空港、港湾の建設を目の当たりにし、日本の物流行政にも変化の兆しが見えてきた。
「日本にも経済大国としての規模に見合うハブ空港、港湾が必要ではないか」との声が大きくなっている。東アジアワイドの航空ハブ機能を首都圏に集約させるプランとして羽田空港の拡張構想も注目を集めている。
ただし、既存の空港に中途半端な機能を加えただけでは不十分。中国市場の急拡大により、東アジアの産業構造は大きく変化した。
その流れの中で「日本が東アジアの物流拠点として、どのようなポジションを確保するべきか」ということについて、より本格的な議論が望まれるわけである。