電力4企業、敦賀市に120億円寄付 6割未公表2008年01月26日16時38分 原発4基が集中する福井県敦賀市が1969〜06年の38年間に、4電力事業者から総額120億円の寄付を受け入れていたことがわかった。事業者側は寄付主の匿名扱いを求めていたため、市は積極的に公表しておらず、このうち6割はこれまで明らかになっていなかった。自治体が受けた寄付の全体像が判明するのは極めて異例だ。
同市が寄付者の氏名や金額、目的などを市議会向けにまとめた69〜07年の「寄付採納」の文書を朝日新聞が入手し集計した。これまで明らかになっていなかった寄付の総額は、4電力事業者から受けた計約71億円。このうち約63億9600万円分が文書に残っていた。 事業者別の内訳は、市内に敦賀原発1、2号機を有する日本原子力発電(原電)=約30億9100万円(30件)▽火力発電所2基を持つ北陸電力=約8億2900万円(12件)▽高速増殖原型炉「もんじゅ」(運転停止中)と新型転換炉「ふげん」(廃炉準備中)を有する動力炉・核燃料開発事業団(動燃、現日本原子力研究開発機構)=約4億6100万円(11件)▽同市に隣接する美浜町で美浜原発(1〜3号機)を運転する関西電力=約3100万円(4件)――だった。敦賀港開港100周年記念で99年に開かれた博覧会のパビリオン(約19億8400万円)は、原電、関電、北陸電の3社が合同で施設を建設後、同市に寄付していた。 寄付が始まったのは、同市で初の原発・敦賀1号機が運転を始めた前年の69年で、原電が10万円、関電が5万円を贈っていた。動燃は、ふげん運転開始前年の78年に「学校施設整備資金」として2億円、翌年には1億円を寄付していた。原電は、敦賀1号機で放射能を帯びた廃液が漏れ出し風評被害が出た81年に「市民生活の福祉向上」のためとして2億円を寄付していた。 市関係者によると、文書に記された寄付以外に84〜96年に公表されていない約7億円の寄付があったという。一方、市内3施設の建設のため90年前後に計約48億9000万円の寄付を受けたことが明らかになっている。 原電は「寄付は事実だが、個別の内容については答えられない。公表については今後、相手との合意の有無などでその都度判断していく」とコメント。関電、北陸電は「当社からは公表しておらず、今後も考えていない」としている。 敦賀市の河瀬一治市長は「原子力政策に協力している自治体として、寄付はごく自然。福祉が充実し、市民に還元されている。今後も電力事業者にお願いしたいと思っている。安全に対しては厳しくチェックしている」と話している。
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