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救急 たらい回し防げ 岐大グループ システム実験へ

患者の容体入力→受け入れ病院検索


パソコンを使って新システムを説明する小倉真治教授

 救急患者のたらい回し防止を目指し、岐阜大学医学部(岐阜市)の小倉真治教授(48)らのグループが、救急隊員が患者の容体を入力すると、受け入れ可能な病院を自動的に探し出す新システムを完成させた。新年度から岐阜県内の3病院で実験を始める。搬送時間の大幅な短縮が見込め、小倉教授は「連絡を取らずに一番近い病院へ急患を運び、専門医がいないために断られるという典型的なたらい回しがなくなる」としている。

 実験は高山赤十字病院、岐阜市民病院、大垣市民病院の3病院で実施する。新システムでは各病院で救急治療のできる医師がIDカードを常時携帯し、「手術中」「非番」といった勤務状態をコンピューターで集中管理する。救急隊員は救急車からパソコンで患者の容体を打ち込むと、どこの病院で受け入れ可能かどうか即座に確認できる。

 岐阜市消防本部では現在、県の救急医療情報システムで受け入れ可能な病院を探しているが、同システムは医療機関からの入力が頼りで、緊急手術などがあった際、急きょ受け入れ拒否になる場合がある。

 新システムでは、病院内の手術室や会議室などに、医師のIDカードを読み取るセンサーを設置し、医師がどこにいて、どういう状況にあるかが自動的に画面に反映される。さらに、人工知能や音声認識などの最先端技術を使って、救急隊員が電話で伝える患者の容体をコンピューターが文字に変換し、病院に送信することもできる。

 小倉教授は「救急隊員や病院の負担を減らすことができ、多くの患者を効率よく治療できる」と話している。実験には寄付や募金などで集まった約3000万円を充て、実験を通してセンサーの設置個所などを検討していく。

 このシステムは昨年開かれた国際学会で小倉教授が発表し、海外の参加者からも「いつ実用化するのか」などの問い合わせが相次いだ。また、小倉教授が東京消防庁の救急業務懇話会委員を務めていることから、同庁も実験を注目している。

2008年1月25日  読売新聞)
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