県立大野病院で04年、帝王切開手術中に女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、加藤克彦被告(40)の第12回公判が25日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であり、遺族3人が意見陳述。女性の夫(34)は「言い訳や責任転嫁せず、何をミスしたかを真正面から受け止め、責任を取ってほしい」と加藤被告に訴えた。
夫は意見陳述で、今回の出産を「天国から地獄だった」と振り返った。術後の説明が「納得できる内容ではなかった」とし、「なぜ妻が死んだのか疑問に思う。自分の行動・言動に責任を持つのは大人の人間として当然のことだ」と話した。
女性の父親(57)は「加藤先生の行為は許せない」と語り、女性の弟(31)は「明るく元気な姉に会いたい」と無念さをにじませた。加藤被告は、終始うつむき加減だった。
また地裁は、弁護側が任意性を争っていた捜査段階の供述調書20通や、加藤被告の処置を妥当とした弁護側依頼の周産期医療専門家3人の鑑定意見書などを証拠採用した。この日で証拠調べが終わり、3月21日に検察側の論告求刑、5月16日に弁護側が最終弁論し、結審する予定。判決は夏ごろになる見通し。【松本惇】
毎日新聞 2008年1月26日