社会
何がすごい?但馬牛 流通過程で増す高級感
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競りにかけられる但馬牛(うし)の子牛=県内の家畜市場 |
高級料亭船場吉兆(大阪市)が、産地を偽装してまで使用をアピールした「但馬牛」。食肉業界では「但馬牛」の読み方によって意味が異なるが、「但馬牛(うし)」は松阪(三重県)など各地の高級食肉のルーツとして、「但馬牛(ぎゅう)」は兵庫県産の黒毛和牛肉の総称として、いずれもブランド力は大きい。その流通ルートを探った。(経済部・桜井和雄)
兵庫県などによると「うし」は生きている牛、「ぎゅう」は加工処理された牛肉を指す。
「但馬牛(うし)」は、県農林水産技術総合センター(加西市)が管理する雄牛の精子を、但馬や淡路地区の繁殖農家が飼育する雌牛に人工授精して生ませた子牛。
繁殖農家は子牛を八-十カ月育てた後、但馬、淡路地域の家畜市場に。年間約九千頭が競りにかけられ、肥育農家に買われていく。八割は県内、残りは三重県松坂市などの県外農家が購入。約六十カ月肥育された後、松阪牛(ぎゅう)や近江牛(ぎゅう)などの高級牛肉に加工される。
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一方、県産牛肉を推進する任意団体、神戸肉流通推進協議会(神戸市)などによると、「但馬牛(ぎゅう)」は、県内で肥育された「但馬牛(うし)」を、県内八カ所ある食肉センターのうち五カ所(神戸、西宮、三田、加古川、姫路)で加工した牛肉。
日本食肉格付協会(東京都)が、肉質などを検査し、一定基準をクリアした枝肉を、同推進協議会が肥育期間や血統なども調べ「但馬牛(ぎゅう)」と認定する。中でも霜降り度合いなどが優れた、四等級の一部と五等級の枝肉(全体の50%)は「神戸ビーフ(神戸牛(ぎゅう))」とも名乗ることができる。
一キログラム当たり「神戸ビーフ」は約三千円、「但馬牛(ぎゅう)」は約二千二百円。一方、一般的な「黒毛和牛」の取引価格は約千八百円といい、「神戸」や「但馬」ブランドに認定されることのメリットは大きいという。
「但馬牛(うし)」「但馬牛(ぎゅう)」「神戸ビーフ」などは昨年、いずれも商標法の改正に伴いスタートした「地域ブランド」(地域団体商標)に登録された。勝手に商標を使用することはできなくなったが、これまで「神戸ビーフ」などの名称を使い、販売していた業者などに対しての制止力はない。
「三田牛(ぎゅう)(三田肉)」も同ブランドに登録。「但馬牛(うし)」を三田市内で肥育し、三田の食肉センターで加工した枝肉は、「但馬牛(ぎゅう)」とも「三田牛(ぎゅう)」とも名乗ることができる。業者らはこれらのブランドを活用したPRを模索する。
地域ブランドの認定を受けた「淡路ビーフ」に加え、「丹波ささやまビーフ」、「黒田庄和牛」なども、独自のブランド戦略を展開している。
「閉鎖育種」という方法で血統を守り続け、各農家でも餌の工夫などを重ねて品質を高めてきた但馬牛。今回の偽装事件について、美方郡新温泉町で繁殖、肥育などを手掛ける浜田博己さん(52)は「農家の人たちが築き上げてきたブランドを汚す行為で許せない」と話した。
(12/11 10:19)
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