県立中央病院の担当医師による術後処理が不適切だったため、入院していた五戸町の女性(69)=当時=が死亡したとして、遺族五人が県を相手取って総額約5900万円の損害賠償を求めていた民事訴訟で、控訴審判決の言い渡しが25日、仙台高裁であり、小野貞夫裁判長は「医師に過失があったとは言えない」と、2005年10月に原告の主張をほぼ全
面的に認め、原告に約3300万円支払うよう命じた一審判決を破棄した。
 訴えによると、2003年4月、同病院で胆石の摘出手術を受けた女性が手術後に死亡したのは、術中に担当医師が内視鏡の操作を誤り、十二指腸に穴を開けたことなどが原因だとしている。
 一審で青森地裁の斉木教朗裁判長は、術中に医師の内視鏡操作に過失があったことを認定。「十二指腸に穴が空いた後の容態悪化は、病状の一つとして想定され得る範囲内のもので、担当医の過失と女性の死亡に因果関係はある」と判断した。しかし、小野裁判長は「同種症例を千例以上経験した医師が慎重に行った手術で、相当程度の注意を払っていた。穴が開いたのは女性が過去に受けた手術の影響も考えられる。医師の過失とは言えない」とした。