医師不足が深刻化する東濃地方で、医師が確保できず休診状態となっている多治見市民病院共栄診療所(同市小名田町)が、4月にも廃止される可能性が高いことが25日、分かった。同病院から医師を派遣できず市立診療所としての存続が困難な上、開業医の担い手も見つからないためだ。地域の高齢者らにとって大切な医療拠点が失われることになる。

 同診療所は1979(昭和54)年、市中心部から約5キロ離れた無医地区の同町、高田町などを対象に開設された。対象人口は約6000人。

 80歳と高齢だった診療所長が約1年前に辞意を示したことから、市では昨年4月から後任の内科医を探してきた。しかし、医師は見つからず、市民病院自体も医師不足で派遣ができない状態で、市では市立診療所として存続は難しいと判断。診療所長も昨年9月で辞め、10月から休診となっており、このままでは4月にも廃止される状況。

 市では現在、診療所を買い取ってもらうか、賃貸で使用してもらう民間の医師を募集しているが、反応はほとんどなく、市では「これほど応募がないとは想定外」と困惑する。本年度中に応募がなければ募集も停止し、跡地利用を検討することになりそうだという。

 辞めた診療所長は患者の悩み事相談にも応じる貴重な存在だったという。地域住民からも存続の要望は強く、市も「あと2カ月、応募を待ちたい」と、祈る気持ちで後任の医師を待っている。