出産直前に心筋梗塞(こうそく)になった湖西市内に住む妊婦(38)が産科休診中の共立湖西総合病院(同市鷲津)から県西部浜松医療センター(浜松市中区富塚町)に救急搬送され、無事出産を終えて母子ともに一命を取り留めていたことが25日、分かった。妊婦の救急搬送で“たらい回し”が問題化する中、医療関係者は「病院間の連携が奏功した成功例」と話している。 両病院の医師によると、昨年11月10日夕、出産予定日を過ぎた妊婦が湖西病院に「胸が痛い」と受診。浜松医大第3内科から派遣されていた同病院当直医の河島広貴医師(36)=循環器科医=が診察したところ心筋梗塞と判明した。河島医師は詰まった血管を風船で膨らませるカテーテル処置を施した後、医療センターに連絡。医療センター側は受け入れを即決し、女性は翌朝、自然分娩で無事女児を出産した。 医療関係者によると、妊婦の心筋梗塞は非常に珍しい症例だが致死率40%といわれる。湖西病院の産科は休診で、女性は浜松市西区の産婦人科医院に通院する“お産難民”。河島医師は「医療センター側がすぐに受け入れ可能であることを示してくれたので無駄な時間がなかった」と話し、医療センター周産期センター長の浅野仁医師(45)は「処置が遅れれば、母子ともに命にかかわる状況だった」と胸をなで下ろした。女性は「たらい回しの問題があり不安だったが、両病院の医師がしっかり対応してくれたので2つの命が助かった」と喜んでいる。 |