井笠地域(笠岡、井原、浅口市、里庄、矢掛町)の教育長による座談会の模様を本日まで、本紙笠岡・井原圏版に全四回掲載しました。
中教審は小中学校の授業を約三十年ぶりに増やす一方、「総合的な学習の時間」は削減を求める、「ゆとり教育」を転換させる内容の答申を文部科学相に提出しています。各教育長は、授業増については子どもが基本や応用力を身に付ける時間確保につながると、この側面ではおおむね肯定的でしたが、授業増に伴い教員の負担も増えます。ただでさえ多忙な教育現場ですから、教員の増員、教育環境の整備を強く訴えていました。
そうした議論の中、印象に残ったのは「ゆとり」が「ゆるみ」になってしまったとの一言でした。「ゆとり教育」は激しい受験戦争を背景にした詰め込み教育、知識重視型教育への批判から一九七〇年代からいわれ、二〇〇二年度、授業の削減に加えて学校週五日制の実施、総合的な学習の時間の新設などを柱に実施されました。しかし、「ゆとり」が「放任」「ゆるみ」につながりかねないと懸念する声は根強くありました。
「詰め込み」から「ゆとり」にふれた振り子を戻した今回の転換ですが、国も地方も財政事情は厳しく教育長たちの要望する教員増員の実現可能性は不透明です。いじめや不登校が絶えない中、子どもとじっくり向き合う時間がとれるのか、学校に理不尽な要求を繰り返すモンスターペアレントなどの問題もあり、教育現場の今後が心配です。やっぱり「ゆとり」がほしいものです。
(笠岡支社・河本春男)