痴漢、放火、制作費着服など不祥事続きのNHKで、今度は報道に携わる記者がインサイダー疑惑だ。橋本元一会長は会見で「再発防止が大事」と頭を下げたが、NHKには昨夜から今朝にかけて291本の抗議電話が殺到した。受信料不払い再燃は必至だ。
証券取引等監視委に聴取されたのは、報道局テレビニュース部の制作記者(33)と岐阜放送局放送部記者(30)、水戸放送局放送部ディレクター(40)の3人。
昨年3月、NHKがスクープ報道した外食大手ゼンショーと回転ずし大手カッパ・クリエイトの提携に関する情報を、局内の原稿システム端末から事前に入手。カッパ株を1000〜3000株買い、翌日売り抜けて10万〜40万円を稼いでいた。
驚くのはNHKの情報管理のズサンさだ。同じ職場でもなく、連絡も取り合っていなかった3人が同時多発的に不祥事を起こしたのは、この端末が元凶だった。元NHK職員でジャーナリストの立花孝志氏が言う。
「NHKの原稿システムは『5300』といわれるパソコン端末で、利用登録した職員がIDとパスワードを入力すれば、使うことができます。早ければ数時間前から原稿を見られるほか、過去のNHK記事や共同、ロイター通信の配信記事など膨大な情報を閲覧できる。ただ、管理はいい加減で、報道局などにポンと置かれているだけ。記事を表示した画面がつけっぱなしだったり、隣からのぞくことも可能です。システムは10年近く前に導入され、東京の放送センターや地方の放送局など、国内外に約1000台が配備されています」
実際、職員の半数近い5000人が閲覧できる状態だったというから、今回の3人は氷山の一角だった可能性もある。
さらにNHK内部ではキナ臭い噂も流れ始めた。「事件の背景に会長人事をめぐるゴタゴタがある」というのだ。
「来週任期が切れる橋本会長に責任を押し付けて事件の幕引きを図るため、情報を知っていたごく限られた幹部がリークした、という噂がささやかれています。橋本会長の退任で海老沢院政は幕を閉じる。新会長が就任する前に局内の膿を出しておけば、幹部の点数は上がるわけです。また、今回のNHKの発表は週刊誌がインサイダー疑惑をかぎつけ、取材に動いたのが発端ともいわれている。昨年3月のインサイダー取引に今ごろ監視委が入ったのも、不自然といえば不自然です」(立花孝志氏=前出)
デタラメ三昧のNHKは、国民から受信料を受け取る資格ナシだ。
【2008年1月18日掲載記事】