都道府県の補助金「運輸事業振興助成交付金」を元手に巨額の基金を積み立てていた「全日本トラック協会」(全ト協、東京都)が06年度、交付金のうち約2億円を役職員の人件費に充てていたことが分かった。国の通達によると、交付金は「各都道府県における輸送力の確保や輸送サービスの改善」などを目的とし、人件費への充当については明記されていない。公金が特定の業界団体の人件費に使われている実態には批判も出そうだ。
都道府県は各地のトラック協会に毎年180億円前後の交付金を助成している。全ト協は06年度、各地の協会から「中央出えん金」として計44億円余の交付金を上納させ、うち約2億円を役職員約40人の人件費に充てていた。全ト協の人件費の約4割に当たり、残りの約6割は会費収入などの一般会計から支出していた。
国土交通省の通達によると、交付金の対象事業は▽トラックターミナルや配送センターの整備▽共同輸送サービスセンターの設置▽運転者のための共同休憩所の整備−−など。交付対象団体などの人件費に充てることができるという規定は存在しないにもかかわらず、全ト協は役職員1人当たり年平均約500万円の人件費を公金から充当している。
これについて、全ト協は「交付金の対象事業を執行している役職員の人件費ということで、交付金を充てるのは問題ないと考えている。国の承認も得ている」と説明。国交省は「交付金に関する業務が全ト協の業務の約4割を占めており、人件費への支出は問題ないと思う」と話している。【伊藤一郎、田村彰子】
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