白浜町出身で民主党の大江康弘参院議員(54)が道路特定財源の暫定税率を維持する政府案に賛成の意向を示している問題について、同党の菅直人代表代行は24日の記者会見で、暫定税率廃止の党方針に従わず、実際に賛成した場合は議員辞職すべきだとの考えを示した。一方、大江氏は「議員辞職の必要はない」と反論。党県連は困惑した様子で、県内の有権者からは「地方の道路事情から仕方ない」「離党すべきだ」との声が出ている。 大江氏は昨年7月の参院選比例代表で2回目の当選を果たしたが、菅氏は「比例で民主党は2300万票の支持をもらい、20人が当選したが、大江氏の個人票は6万9000票足らずだ」と指摘。その上で「もしそういう(政府案に賛成の)行動を取るつもりなら、議席を民主党に戻すのが筋だ」と強調した。 23日の暫定税率維持を求める都道府県議会議員の決起大会には別の民主党参院議員2人も参加していたが、大会後に大江氏が「党が態度を変えないなら政府案に意思表示することになる」と、賛成票を投じる考えを記者団に示唆したことから、大江氏だけ名指しで批判したとみられる。 また大江氏は大会のあいさつで「この場の熱意が伝わらないなら、わが党はKY(空気が読めない)政党だ」と述べ、テレビや新聞で取り上げられた。「辞職の必要なし」大江氏が謝罪要求 菅代行の発言について、大江氏は紀伊民報の取材に対し「多くの自治体や地域が暫定税率の延長を求めており、政治家の信念として政府案に賛成している。多くの支持を頂いて当選しているわけで議員辞職する必要はない」と反論。 さらに「個人票6万9000票足らずといった発言は、1票を軽んじた発言」と批判した。25日にも菅代行に謝罪会見を求める内容証明を送るという。 民主党県連の藤本真利子代表は「道路が必要だという大江氏個人の判断で行っていることだと思う。パフォーマンスが大きく取り上げられているが、大江氏から県連と距離を置きたいということも聞いており、県連として対応するのは難しい」と困惑した様子。 長年、大江氏を応援している上富田町議会議長の池口公二さん(52)は「今回の大江氏の行動については、支持者の中にもいろいろな意見があることは事実だが、わたし個人としては道路整備が遅れている地方の実情を考えるとやむを得ない判断だと思う。支持する」と話す。 前回の参院選の比例代表で民主党に投票した田辺市内の公務員男性(39)は「もともと大江氏は民主党的な感じではなかったので、いつかこうなるんじゃないかと思っていた。主張が違うのだから離党したほうがいいのではないか」と話した。