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社会

山陽新幹線「0系」引退へ 世代交代し事業強化へ

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今年11月の廃車が決まった「0系」。ファンの人気は根強い=神戸市中央区、JR新神戸駅(撮影・青木信吾)

 日本の高度経済成長期を支えた初代新幹線「0系」が、今年十一月で姿を消す。現在、山陽新幹線(新大阪-博多)だけで運転されているが、JR西日本が老朽化を理由に廃車を決めた。“世代交代”を象徴するように、昨年七月には電力消費量を低減化し、環境にも配慮した最新鋭の「N700系」がデビュー。「0系」の四十四年に至る歴史を振り返り、新たな転機を迎えたJR西日本の新幹線事業を追った。(社会部・金海隆至)

 「0系」は東京五輪が開催された一九六四年十月、東海道新幹線(東京-新大阪)の開業と同時に「ひかり」「こだま」として運転を始めた。丸みを帯びた独特の先頭形状は、航空機をモデルに考案され、ファンに長く親しまれた。

 最高時速は二百十キロ。翌六五年には東京と新大阪を三時間十分で結び、それまでの在来線特急による六時間半を大幅に短縮した。八六年にはさらに十キロ速くなり、三時間を切った。欧米の鉄道の高速化にも影響を与えたとされる。

 国鉄末期の八六年三月までに三千二百十六車両が製造されたが、「100系」「300系」など速度や乗り心地を改良した新型に押され、九九年九月には東海道区間から引退。現在はJR西が六両編成計六本を保有し、山陽区間で各駅停車の「こだま」として上下二十一本を運行する。

 最も新しい車両で製造後二十二年がたち、ダイヤ編成上のネックになることから、JR西は昨年十二月、玉突き式に「0系」の廃車を発表。時速三百キロで走る「500系」をこだまの後継車両とし、のぞみ用の十六両編成から八両編成に変更して、今年十二月から入れ替える。

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 最新鋭の「N700系」が登場した昨年七月一日、JR西は新幹線事業にかかわる二つの組織を独立させた。

 将来像を描き、運行全体の施策をまとめる「新幹線統括部」を本社鉄道本部内に新設。また、各支社が担ってきた車両のメンテナンスや保線など現場業務を「新幹線管理本部」に集約した。民営化後二十年近く、支社や部署単位で輪切りになっていた体制に終止符を打ち、新大阪-博多間約六百キロを一括管理するシステムを立ち上げた。

 両組織のトップに立つ真野辰哉・統括部長兼管理本部長は「九〇年代の速度アップから、今は安全に対する信頼性や快適性も含めた『新幹線ブランド』の向上が求められる時代。新幹線に特化して、情報収集や固有の技術継承を図る組織の確立が欠かせなかった」と強調する。

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 JR西が「新幹線に一層力を注ぐ」(同社広報部)背景には、好調な新幹線需要がある。

 同社の〇七年度中間連結決算で、新幹線は運輸収入全体の44%を占める千七百二十三億円に上った。増収は四期連続で、前年度比4・6%増。経営のもう一つの柱、京阪神エリアの在来線がほぼ横ばいの千五百十九億円だったのに対し、大きな伸びを示した。

 一一年春には九州新幹線(博多-鹿児島中央)の全線開通に伴う相互直通運転も始まる。大阪-鹿児島間を現行より一時間速い四時間で結び、広島や岡山も南九州から三時間前後の移動圏内に含まれるようになるため、新幹線の新たな需要開拓への期待は大きい。相互乗り入れに適した車両開発など課題は多いが、「決断した以上は、一千億円の投資に見合う成果を得る覚悟でやる」と山崎正夫社長。

 飛行機との競争激化も視野に、いかに新幹線の成長を引き出すか、今後も注目を集めそうだ。

(1/23 09:54)

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