韓国に「タリョン(打令)」という言葉がある。辞書を引くと「音曲の一つ、節回し、繰り返して話すこと、口癖、決まり文句…」などと出ている。普通、繰り返しぐずぐず言うという感じで、たとえば「シンセタリョン(身世打令)」などといった言葉としてよく使われる。これは自分の身の上話をぐずぐず語ることで、いわば「人生嘆き節」ということになろうか。
韓国人はこれが結構好きで、自らの来し方あるいは苦労話をあれこれ長々と話したがる。だいたいが不運や不平、不満の話で、それを語ることでストレス解消をやっているようにみえる。だから「シンセタリョン」は誰かに対する攻撃的な話というより、それを吐露することで自ら精神的な安心を得るというか、一時的にすっきりするという感じのものだ。
このあたり、自分の苦労話は聞かれればともかく、自ら他人にはあまりしない方がいいと思っている日本人とは、情緒的にかなり違うところがあるように思う。
盧武鉉大統領の日韓外交における“歴史好き”に接するたびに、筆者(黒田)は「歴史タリョン」という言葉を思い浮かべる。昨年の竹島(韓国名・独島)問題に端を発したこの間の盧大統領の対日外交姿勢は、まさに「歴史タリョン」ではなかったか。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/korea/30868/盧大統領の“日韓関係歴史講義”は日本の要人に対してだけではなく、この間、ブッシュ大統領やライス国務長官など米首脳から、
中国やヨーロッパの首脳、さらにはアナン国連事務総長にまで及んだ。第三者に自らの主張を力説し支持を得ようというわけだが、日韓関係に関連し第三者相手にこれほど日本批判をした大統領は珍しい。国際的にも異例だろう。いかにも盧大統領らしいやり方だ。このところの発言では「この地域の平和と安定を脅かすのは(靖国や教科書、慰安婦、島問題など)日本の歴史問題」といった内容が目立つ。北朝鮮の超軍事独裁体制やその核武装、ミサイル開発より日本の歴史問題が脅威と言わんばかりなのだ。
シンセタリョン(身世打令) 
なっとく
