済州新聞 慰安婦記事 全文（1989年8月14日）

見出し部
日帝”済州で慰安婦二〇五名徴発した”
日本人手記「私は朝鮮_人をこうして……」波紋
住民等は”捏造”日本の恥知らずの商魂に憤慨
著者は山口県労務報告会動員部長
”城山浦ボタンエ場、瓮浦、法環里などで強制徴用”と主張
本文
解放四四周年を迎え、日帝時代に済州島女性を慰安婦として二〇五名を徴用していったという記録が出されて大きな衝撃を投げかけているが、それを裏づける証言がなく波紋を広げている。
一九四二年から敗戦までの約三年間、山口県労務報告会の動員部長として朝鮮_人を徴用する仕事に従事していた吉田清治氏の戦争犯罪記録『私の戦争犯罪』（直訳：私は朝鮮_人をこのようにして捕まえて行った）がそれで、清渓研究所現代史研究室によって八三年版が翻訳出版された。
ここには「光州での男子の強制連行」と「済州島での慰安婦狩り」について、自分が直接加担し、狩り出してきて連行していった当時の様子を記録している。
この記録によると、△皇軍慰問・朝鮮_人女子挺身隊二百名△年齢十八歳以上三十歳未満△身体強健なる者△期間一年△給与毎月三十円△支度金として前渡金二十円△勤務地中支方面△動員地区朝鮮全羅南道済州島△派遣日時一九四三年五月三〇日正午△集合場所西部軍第七四部隊、という動員命令まで詳しく記述されている。
「我々は小さな村落の若い娘を全員捕まえて(車に)乗せ、車の速度を上げてそこを出発した。高い岩山の間を抜ける道を曲がると飛揚島が見えた。広い海には帆を揚げた船が点々と浮かんでおり水平線は白く霞んでいた……。我々が入っていった建物は事務室と工場を兼ねていたが、四、五人の男が事務をとっていた。年をとり太った男が我々を迎え、組合長だと挨拶した。私はすぐ組合長に『二十歳くらいの女を徴用する。すぐに工場内をまわって女を連行する。お前たちも協力せよ!』」（「済州島での慰安婦狩り」の一部)
猥褻で差別的な表現までも避けることなく使っている。
ところが、朝鮮_人を徴用したことに関する公式記録や関係文書は敗戦直後、内務次官の通牒により全国の道府県知事の緊急命令書が各警察署に発送され、完全に廃棄処分された。
しかし、この本に記録されている城山浦の貝ボタン工場で一五名から一六名を強制徴発したということや、法環里などあちこちの村で行われたこの慰安婦事件の話は、これに関する証言者がほとんどいない。彼らはあり得ないことと一蹴しており、この記録の信憑性に対する強い疑いを投げかけている。
城山里の住民の全・オクタンさん（八五)は「そんなことはない。250余の家しかない村落で一五人も徴用されたとすれば、どのくらい大事件であるか…当時そんなことはなかった」と断言した。
郷土史学者の金奉玉氏は「日本人たちの残虐性と非良心的一面をそのまま反映したものだ。恥ずかしくて口に出すのもはばかられるようなことをそのまま書いたもので、本だと呼ぶことさえできないと思う。八三年に原本が出たとき、何年かの間追跡した結果、事実無根の部分もあった。むしろ日本人の悪徳ぶりを示す道徳性の欠如した本で、軽薄な金儲け主義的な面も加味されていると思う」と憤慨した。