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【風】増大する患者の権利意識

1月25日16時28分配信 産経新聞


 《ここ数年、私のような開業医でも感じているのは、患者さんの権利意識の増大です》

 京都の40代の男性開業医からのメールだ。

 昨日、かかりつけ医に夜間連絡がつかず、救急病院に頼らざるを得ないという男性からのメールを紹介したが、今日は開業医の視点から。

 《診察室に入っても帽子をとらない人、ガムを噛(か)んでいる人、携帯の呼び出しに診察途中に応じる人など、モラルの低下を感じます》

 男性開業医は、救急隊も同じように感じているとした上で、こう書く。

 《私は決して医師と患者さんの関係において医師が上で、患者さんが下だ、などと思っている者ではありません。しかし、医師もまた人間なのです。時間外の夜中に起こされて、水虫がかゆいからなんとかしてくれ、などと言われると正直腹立たしいのです》

 患者側のモラル低下の問題は、開業医、勤務医、救急隊などを問わず複数の医療従事者から寄せられている。

 岡山の40代の男性勤務医は《最近になって昼間に診察にこれないとか、待ち時間が長いからという理由で夜間に受診する患者が増えている》と現状を明かす。

 《救急医療が必要でないなら、救急車を利用しないことが大切です。以前は地域や年寄りから常識が伝わったと思いますが、最近常識を身につける場が少なくなりつつあります》

 また、冒頭の開業医は患者の権利意識の増大の結果、医療現場での訴訟が増えたことも、医療機関が萎縮(いしゅく)する原因と指摘する。

 《善意で治療しても結果が悪ければ訴えられる。アメリカ型訴訟社会では、専門医がいなければ救急を受けることはできないのです》とした上で、《結果、1次2次救急では、ハイリスクの患者さんや専門外は必然的に敬遠します》と訴える。

 実際に、医療訴訟は増えている。最高裁の統計によると、平成8年に575件だった新規の医療訴訟は、9年後には倍近くの999件に増加している。

 医師と患者の関係を取り巻くこの悪循環が、命を救う“最後の砦(とりで)”とされる救急医療の現場を衰退させているのだろうか。(信)

最終更新:1月25日16時28分

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