計算気象予報士が語るここだけの話

気象の不思議を理論的に解析する気象予報士の日々の研究や奮闘の様子と喜怒哀楽

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qq_otenki_s
性別 男性
都道府県 新潟県
自己紹介
「気象の理論で哲学を語り、微分・積分で気象を解く」をモットーに、独自の数値シミュレーションや人工知能理論を駆使した気象予測を研究しています。次世代型の局地予報の実現に向けて新たな技術に挑戦しています。



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高層天気図と上空の寒気

 冬の大雪を予想する上で、上空の寒気の動きを把握することは必須となります。この時期の天気予報では「上空5000mで-30℃の強い寒気」と言った言葉が良く聞かれるようになります。このような上空の寒気は、ニュースや新聞で目にする天気図(地上天気図)では分かりません。上空の様子は高層天気図という資料を見ることになります。

 高層天気図は上空の天気図であり、地上天気図ではわからない気圧の谷や上空の風の流れや寒気・暖気の動きを知ることができます。地上天気図は海抜ゼロ(z=0[m])の等高度面における気圧分布を示したものですが、高層天気図は等圧面上(気圧が各々850,700,500[hPa] となる面上)の高度分布を示したものです。

 この違いのイメージを図にしてみました。地上には前線を伴った低気圧が解析されています。これは海抜ゼロ面(等高度面・平面)上の気圧配置です。そしてその上層の天気図は気圧が等しい曲面上の天気図になっていることがお分かり頂けると思います。

 気圧は空気の重さであるため、等圧面の高度の高い部分(ridge)は高気圧、谷底の部分(trough)は低気圧にそれぞれ対応しています。気象データを取り扱う上で、高層天気図の概念を理解することは重要です。

 冬の天気予報でよく用いられている指標は次の通りです。

・上空500hPa(約5000〜5400m)で −36℃以下・・・大雪の目安
・上空500hPa(約5000〜5400m)で −30℃以下・・・雪の目安
・上空850hPa(約1300〜1500m)で  −6℃以下・・・雪の目安
・上空850hPa(約1300〜1500m)で  −3℃以下・・・ミゾレの目安
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置賜地方も大雪のようですね。

 かく言う私も今は他県に移っておりますが・・・こちらもやはり雪国です。

 それはさておき、この冬はいきなり大寒波と大雪に見舞われました。12月に降る雪の量としては、特に米沢で記録を更新したようですね。気象庁では予め暖冬との見解を示しておりましたが、寒冬予報に変わっているのは周知の通りです。この長期予報の修正に関してはいろいろなご意見もあるかと思います。

 冬の長期予報で本当に気になるのは「降雪量」ではないでしょうか。現在の1ヶ月予報では降雪量は「平年並か多い」との予報が出されています。1月中はまだ強い寒気や冬型の気圧配置の影響を受けるものと思われます。

 この冬の特徴は、先述のように12月の降雪量が例年になく多いということです。例年、米沢のアメダス観測点ではひと冬(12月〜2月)の間に概ね300cm前後の雪が降ります。少ないときは250cm近くまで落ち込むこともありますが、大雪の時は400cm近くに達することがあります。米沢の場合は例年12月の1ヶ月の間に70〜100cm程度のオーダで降っているようですが、今年の12月はすでに170cmを超えています。

 過去のデータを調べてみると、12月にこんなに大雪になったのは1980年の156cm以来です。この年の場合は1月まで雪が多めで2月に入ってから徐々に小康状態になっていきました。現時点で今後の降雪量の傾向を断定することはできませんが、恐らく1980年12月〜1981年02月の場合が参考になるかもしれません。

 これまでの冬の傾向を見てみると、雪が積もらないまま大晦日や新年を迎えた場合は1月後半〜2月に大寒波に見舞われました。例え暖冬になろうとならなかろうと、一度大寒波が来ればそれで大雪になってしまいます。冬には雪が必ず「それなりには」降るのです。自然はどこかで帳尻を合わせているのではないか?と思った程です。ただ、この冬はちょっと雪は多めになるかもしれません。

 1月中はまだ強い寒気や冬型の気圧配置が断続的に続きそうです。雪かきや雪下ろしの際の事故が何件か発生しているようです。くれぐれもお気をつけて下さい。
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列車を横転させる横風とは?

横風、盛り土で風が吹き上げ? JR羽越線事故 (朝日新聞) - goo ニュース

 山形県庄内町での列車事故・・・これから山形県に帰省する身にとっては人事とは思えません。被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げると共に、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
この事故の原因については様々な見解が出されておりますが、どうやら突風による横風が有力な見方のようですね。
 記事に登場している大学の先生は40メートル以上の横風でなければ列車横転はないだろうとの見方を示しておられますが、付近の観測によれば20メートル未満だったとか?
ただ、観測の空白域だけに局所的な強風域が短時間だけ発生した可能性も否定できません。事故発生当時は吹雪や雷が激しかったことから対流雲(積乱雲)の存在が伺えますしこれにともなうダウンバースト(マイクロバースト)があったと考えると、局所的に40メートルを超える強風が一時的に発生したと考えることができます。

 さて、40トンという重量の列車を横転させるほどの風とは如何ほどなのかを、私も計算してみました。各パラメータと計算式は次の通りです。
θ:車両の傾斜角、M:車両の重量、g:重力加速度、h:盛り土の高さ、H:車高
V:横風の風速、L:車両の長さ、ρ:空気の密度

 V={Mg・sinθ / [ρL(H+h)] }^0.5 (式の導出過程は省略)

 これらの値について詳しいデータがあるわけではないので、あちこちで調べたり憶測で値を代入しています。仮に

M=40000kg
g=9.8m/s^2
h=1.0m
H=3.5m
L=24m/両
ρ=1.293kg/m^3

として、車両がθ=45°傾く場合、横風としてはV=44.55m/sという猛烈な風が吹きつけることになります。しかし、ダウンバースト(マイクロバースト)に伴う突風の場合、決してありえない数値ではないと思われます。

 観測網の盲点を付かれた形になったのかどうか・・・最終的には調査委員会の見解に委ねるしかありませんが、このような事故が二度と起こらないよう切に願っております。原因の究明と対策の実施を望みます。
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「天気と健康・いきいきライフ」は残り3回です。

 メールマガジン「天気と健康・いきいきライフ」御購読頂きまして誠にありがとうございます。

 さて、本メールマガジンは講座形式で配信しており、残り3回の配信を持ちまして一通りの講座内容は終了となります。現講座の最終配信は2006年01月15日の§5.6の配信の予定です。

 尚、02月からは再び§1.1に戻って同内容の配信となりますのでご注意下さい(配信停止される場合はお手続きをお忘れないようにお願い申し上げます)。

 いよいよ残す所3回の配信となりますが、宜しくお願い申し上げます。
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おきたま「お天気」チャンネルの年末年始休業

メールマガジン:おきたま「お天気」チャンネルをご購読の皆様

 いつもご愛読頂き、ありがとうございます。
 この度、12月26日から年末年始休暇としてお休みさせて頂きます。新年最初の発行は1月9日を予定しておりますのでご了承下さい。尚、休止期間の予定は諸般の事情により若干の変動があるかもしれません。

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メールマガジン「気象トレンド未来予報」

 地方の気象情報会社に勤務している現役の計算気象予報士が、気象現場のちょっとした日常や最前線の話題を紹介していきます。他では聞けない局地天気予報のウラ話や目からウロコのエピソード、天気予報の知られざるウラ話も「ごった煮」状態で紹介して行きます。

毎月1回を目処に発行しています。配信・登録は無料です。



(サンプル文面)
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        気 象 で 未 来 を シ ミ ュ レ ー シ ョ ン
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         気 象 ト レ ン ド 未 来 予 報
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         計算気象予報士が語る天気予報や現場の裏側

  20□□年□□月□□日発行(不定期発行:通巻第○○号)

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 現在の天気予報は、詳細な気象観測と物理学の法則に基づいた大規模な数値
シミュレーション(数値予報)の結果をもとにして、気象庁の予報官や、民間の
気象予報士が判断しています。

 このメールマガジンでは、地方の気象情報会社に勤務している現役の計算気
象予報士が、気象現場のちょっとした日常や最前線の話題を紹介していきます。
他では聞けない局地天気予報のウラ話や目からウロコのエピソード、天気予報
の知られざるウラ話も「ごった煮」状態で紹介して行きます。

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          C O N T E N T S
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●気象情報の現場から   〜24時間体制の予報業務・実況監視始まる!〜

●最近の近況報告     〜台風のような日々だったあの頃 〜

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●気象情報の現場から   〜24時間体制の予報業務・実況監視始まる〜
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 さて、我が社でも期間限定で24時間予報業務体制を敷く事と相成りました。
一応、規則では3名以上の気象予報士が配置されている事業所では24時間の
予報業務体制を実施する事は可能なのですが、3名で24時間は相当ハードと
なるでしょう。実際問題として事実上、休日らしい休日がなくなります。栄養
ドリンクの出費が嵩みそうです。
                 ☆

 実際に、気象情報会社で気象予報士による24時間予報業務体制を事業化す
る場合、気象予報士は最低でも何名いることが望ましいのか、改めて考えて見
ましょう。

 1日の勤務時間帯を3種類のシフトで構成し、1シフト当たりの勤務時間を
8時間とします。また、気象予報士1名当たりの1週間(稼働日数5日/週)
当たりの労働時間は40時間とし、時間外労働については考えないものとしま
す。さらに、人件費を最小限に抑えるために同一シフトに勤務する気象予報士
の数を1名としましょう。

 そうすると、24時間体制を事業化するため必要な気象予報士の数は・・・

(以下・略)

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●最近の近況報告     〜台風のような日々だったあの頃 〜
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 現在、6割を超える企業で「心の病」を抱える社員が増加傾向にあり、風通
しがよく、何でも相談しあえるような職場環境作りが急務との記事を新聞で読
みました。

 実は、「「心の病」抱える社員が増加、30歳代が6割」というタイトルを
見ただけで・・・「あ〜、わかる〜ぅ」って思ってしまいました。

                 ☆

 30歳代と言えば、やはり色々な意味で中核となるだけに重圧が掛かるのか
も知れません。私の場合は、年齢的には30歳になったばかりですが、前職で
は本当に心身ともに疲弊しきっていたと述懐しています。ましてや、家庭があ
れば家庭を養っていかなければならないという重圧があり、かといって独身貴
族であれば、家族・親戚からの結婚はまだか?子供はまだか?と言った重圧が
あるわけです。

 そしてそれ以前に業務面でも最前線に立って活躍しなければならないという
プレッシャーがあるでしょう。その肩にのしかかる責任はとても重大でしょう。
例えどんなに辛くても、最後に頼れるのは自分しかいない。それでも、精神的
な支えがあるのと無いのでは天と地の差があります。それは時に友人であり、
恋人であるかもしれない。良き同僚仲間であれば尚のこと心強い。

                 ☆

 もちろん、家族であるかもしれないが、時としては家族でさえも「追い詰め
る側」になってしまう・・・と言う事も少なくない。最も、家族が支えになれ
ばこれ程心強い味方はいないのですが、家族が追い詰める側の存在になっては、
心が癒される事は決してないのです。

(以下・略)

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